本記事は楽天証券が提供する「トウシル」の「TOP 3分でわかる!今日の投資戦略」からの転載です。
今日のポイント
- Warren Buffett氏が天然ガス輸送・貯蔵事業に1兆円投資
- 株価指標で見て「割安」な大手総合商社
- 商社はビジネスモデルを転換しつつある
- 決算内容は意外にしっかり、高配当株として投資価値は高いと評価
これら4点について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。
Warren Buffett氏が天然ガス輸送・貯蔵事業に1兆円投資
7月6日の日本経済新聞夕刊によると、「著名投資家Warren Buffett氏率いるBerkshire Hathawayは5日、米Dominion Energyから天然ガス輸送・貯蔵事業を買収すると発表」「有利子負債を含めた買収総額は97億ドル(約1兆380億円)」とのことである。
これは、世の中の流れに逆行する相当な逆バリ投資だ。というのは、米国の天然ガス産業は、原油・ガス価格の下落によって今まさに苦境に陥っているからである。シェールガス大手の破綻や撤退・縮小などが今まさに発表されているところだ。
今なら米国のシェールガス・オイル関連事業を安く買い叩くこともできるだろう。そこに1兆円を超える大金を突っ込んだわけである。これこそBuffett氏の本領、「バリュー(割安)投資」だと思う。
「Buffett氏の運用手法」と一言でいっても若年期と壮年期で異なる。無名だった若年期にはハゲタカファンドばりのディープバリュー(激安)株投資で荒稼ぎしていた。運用手法の根底にバリュー重視がある。ただし、年とともにグロースを重視した。
ただ、根底には常にバリューを考えながら投資銘柄を選ぶ慎重さがある。運用で「勝つ」ことを考えつつも、常に「大負け」しないようにリスクをコントロールしている。それがグロースを重視しつつ、バリューも見る運用手法につながっていったと思う。
リーマンショックのときは暴落した金融株を買い、その後のリバウンドで稼いだ。今は世界中で嫌われて株価が下がっている「資源関連株」に目を付けたものと思われる。
日本の個人投資家もこの手法には学ぶところがあると思う。逆バリで割安株を買うことが投資リスクをコントロールするのに寄与する部分があるからだ。
ワクチン関連、リモートワーク関連などの成長株は人気が沸騰して短期に株価が急騰する面白さがあるが、そればかりに投資していると人気が去ったときに株価が大きく下落するリスクもあり注意が必要だ。
一方、資源関連株や金融株は不人気なので短期的な株価上昇は期待できないが、株価が割安なので長期でじっくり投資していくのにふさわしいと思う。人気の成長株と割安株はバランス良く分散投資していく必要がある。
ところで、日本株で資源関連株というと代表として「大手総合商社」が挙げられる。世界中に資源権益を保有していて、資源事業が利益の柱の一つとなっているからだ。今、資源関連株は嫌われて世界中で株価が低評価になっている。日本の大手総合商社株も資源事業を幅広く手掛けているので、株価指標で見て割安となっている。長期投資でじっくり買っていけると判断している。