残業が減った、深い交流が生まれた--仮想オフィスサービス「Remotty」導入企業に聞く - (page 2)

池田園子

2020-07-10 07:40

 「以前から、オフィスで勤務することが前提だと、エンジニアを集めるのも一苦労だと感じていました。働く場所を限定しないことで、地方在住のエンジニアも採用できるようになる——そんな狙いもあり、全員がテレワークできたら、と考えていたんです」

 テレワークになれば、これまで時短勤務をしていた人も、通勤時間が発生しない分、通常の働き方ができるようになるかもしれない。さらに、休憩時間を活用すれば、ちょっとした家事もできて、時間を有効に使える。そんなメリットも生まれる。

 「もう(以前の働き方に)逆戻りすることはないでしょう」と前川氏は確信している。

「メンバーの顔が見える」ことでオフィスにいる感覚に

 数ある仮想オフィスサービスの中から、Remottyを選定した理由は何だったのか。決め手となった大きな要素は「メンバーの顔を見て、適切なタイミングで声かけできる」点だという。

 Remottyを立ち上げると、PCのカメラで写真が自動撮影され、約2分間隔で他のメンバーに共有される。それぞれの顔が見えて、PCの前にいる相手の表情が、リアルタイムでわかるのだ。

 「メンバーと話すときは、マンツーマンで顔を見ながら、というのがいい」。同社社長のそんな思いを実現できるのがRemottyだった。メンバーの間でも違和感はないという。

 互いの顔が見えるメリットはたくさんある。例えば、始業時間から終業時間の間、顔が見えていれば、出退勤を細かく管理しなくてもいい、と考える管理職もいるだろう。マネジメント側はもちろんメンバーも、出退勤記録・確認にかける時間的コストを減らすことができる。

 また、目の前の業務に集中している、電話をしている、集中を解いて休憩しているなど、相手のそのときどきの様子を把握できる。それゆえオフィスにいるときと同様、「今話しかけても大丈夫?」と声をかけやすいのだ。

オンラインならではの難しさとうれしい変化

 一方で、初めて使うサービスゆえに、メンバーの間に戸惑いが生じることもある。導入後に簡単なヒアリングをしたところ、「ずっとテレワークをしたい」「原則テレワークだが、ときどき出社したい」「原則出社したい」が3割ずつと、見事に同割合だったそう。

 「出社したい」の根底にあるのは、リアルでのコミュニケーションと比べて、オンラインのそれに感じる「やりとりのしづらさ」だ。

 「テレワークは“ちょっと”という感覚が難しい——そう感じる人も少なくないと思います。向かい合って口頭で伝えれば15秒くらいで終わることが、テキストにまとめて正確に伝えようとすると、15分くらいかかることも。同じ場所にいない状況で、文章で過不足なく伝えるのに慣れるまでは大変かもしれません」

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