NECは、ニューノーマル(新しい常態)時代に求められるオフィスの在り方を見据え、生体認証や映像解析などの先進技術を活用したゲートレス入退システムやマスク対応レジレス店舗などさまざまなシステムの実証を本社ビル内で開始した。
同社ではグループ社員約10万人を対象に、以前からリモート環境での働き方を実現する「Digital Work Place」の社内基盤を構築するとともに、デジタル変革における開発実績やノウハウを生かし、企業・組織のデジタルシフトを加速する製品・サービスの提供を進めている。今回の取り組みは、生体認証による共通の「Digital ID」でさまざまなシステムをつなぎ、ニューノーマル時代に対応したオフィス環境の評価・検証を行う。
具体的には、(1)NEC Digital IDによる顔認証用カメラやサーマルカメラを活用した2種類の入退管理ソリューション、(2)レジを通さず手に取った商品を自動で決済可能なレジレス型店舗システム、(3)NEC Digital IDによる決済POS、(4)マスク着用検知システム、(5)居場所お知らせガイド、(6)混雑状況可視化、(7)顔認証を活用したロッカー、自動販売機、自動ドア、複合機、共有PC利用システム、(8)NEC Digital IDによるゲストウェルカムサイネージのーー検証を行う。
(1)では、NEC Digital IDゲートレスエントランスとNEC Digital ID入退場ゲートという2種類の入退管理ソリューションを利用する。NEC Digital IDゲートレスエントランスを活用してマスクを着用した状態でも複数の人を同時に検出・照合し、入場ゲートや警備員によるセキュリティチェックで立ち止まることなく本人確認が可能にする。さらに、通行者の体表面温度を自動測定して感染症対策も同時に行え、これによりオープンな雰囲気を作りたいオフィスや施設のエントランス等で安全性と運用の効率性を両立した入退管理を実現する。また、NEC Digital ID入退場ゲートは、物理的なフラッパーゲートの設置や既存のセキュリティ環境との連携など、より厳格な入退管理の仕組みを実現できる。
(2)では、店舗内に設置したカメラや映像認識技術などを組み合わせ、レジを通さず手に取った商品を自動で決済可能にする。マスク着用時でも顔認証で本人を照合可能なため、感染症対策としての安全性とスムーズな購買体験を両立する。
(3)では、パターン認証と顔認証の2要素認証により、POS端末など既存の店舗システムともシームレスに連携し、簡単かつセキュアに決済を行う。今回の実証では、マスク着用時における本人確認や、給料天引きやクレジットカード支払いの2つの決済方法にも対応している。
(4)では、歩行者のマスク着用の有無を人物検知カメラで自動的に判定し、未着用の場合は本人に対してその場でアラート通知を行う。これにより、人が集まりやすい場所や厳重な安全管理が求められるイベントなどでのマスク着用の徹底を実現できる。
(5)では、映像解析技術を活用し、指定した社員の作業場所をスマートフォンなどからフロアマップ上でリアルタイムに把握する。また、フロア全体の混雑状況なども一目で分かるため、フリーアドレスにおける利便性・生産性向上を実現できる。
(6)では、食堂やエレベーターホールなどの混雑状況を映像解析技術で可視化し、自席のPCなどからリアルタイムで人数や混雑度などの状況を簡単に確認することができる。これにより、混雑分散による待ち時間の短縮や密状態の回避が可能となる。
(7)では、本人の同意のもと、事前に登録した顔データに基づき、さまざまなシーンで顔認証を活用したタッチレスによる効率化を検証する。NECでは鍵を持たずに荷物の一時保管が可能なNEC Digital IDロッカーや、安全かつスムーズなキャッシュレス決済が可能なDigital ID自動販売機を新たに導入しており、業務用のフロアでは、顔を向けるだけで厳格なエリア入場管理を行う顔認証自動ドアや、パスワード入力や社員証を用いることなく簡単に利用可能な顔認証複合機・共有PCを設置している。
NEC Digital IDロッカーとDigital ID自動販売機の利用シーン
(8)では、来訪時の顔認証による出迎えメッセージ(名前、会議室情報など)の表示機能や、ちょっとした空き時間に楽しめる笑顔測定を活用した写真撮影の機能などを組み合わせたサイネージシステムを設置し検証する。来訪者の来訪時に面会予定の社員のスマートフォンにリアルタイムで通知されるため、スムーズな案内が可能となる。さらに、氏名・顔写真・所属部署などの社員情報をデジタル化し、スマートフォンを用いてタッチレスで社員と来訪者との名刺管理が可能なオンライン名刺管理ソリューションも開発し、社員と顧客との安全かつスムーズな対面によるコミュニケーションを実現していく。