ニューノーマルに向けた社会のデジタル変革へ
以上が、CTCの発表の概要だが、今回この新サービスを取り上げたのは、まさしくこれから必要になる取り組みだと考えたからだ。このところ、劇場や高齢者施設でもクラスター(感染者集団)が発生する動きも出てきた。経済活動を継続するならば、こうしたソーシャルディスタンスをしっかりと確保した感染対策が、これまで以上に求められる。
CTCによると、同社はデジタルシミュレーションにおいて60年以上にわたる実績と知見を有し、製造業における生産ライン、物流センターの人員配置、交通シミュレーション、金融機関の窓口業務など、さまざまな分野でサービスを提供してきた。近年では、空港の運用状況に関してコスト削減や効率化につながる定量評価サービスも開始しているという。(図3)
図3:ソーシャルディスタンスのシミュレーションイメージ(出典:CTC)
CTCでこのサービスを手掛ける科学システム本部DSビジネス推進部長の斉藤伸也氏は筆者の取材に対し、「もともと、人が利用する施設の将来計画策定(設備数、レイアウト、運用ルールなど)のお手伝いを、シミュレーションやデータ活用の技術を使用して実施していた。今までは固定値としていた人と人との距離を変動要素として扱い、最適な状況を割り出すことで今回のサービスを実現した。既存のお客さまからもこの分野についてご相談いただいたこともあり、同様の課題をお持ちのお客さまに対して何かお役に立てればという思いで、今回のサービスをお届けしていきたい」と話した。
同社では、今後もシミュレーション技術の高度化に取り組み、関連サービスを拡充していくことで、さまざまな施設の安心で安全な利用に貢献していきたいとしている。今回の新サービスは、まさしくニューノーマル(新常態)に向けた社会のデジタル変革(DX)において必要な取り組みといえよう。