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米ZDNet編集長Larryの独り言

元宇宙飛行士のロケット開発企業CEOが語る、ロケットエンジンと宇宙開発のこれから

Larry Dignan (ZDNet.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-07-27 06:30

 米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士であり、ロケットエンジン開発企業Ad Astra Rocket Companyの創業者・最高経営責任者(CEO)でもあるFranklin Chang Diaz氏が、宇宙での輸送の原動力となるロケットエンジンの開発と商用化について語ってくれた。

Franklin Chang Diaz
Franklin Chang Diaz氏
提供:Ad Astra

 NASAの宇宙飛行士として数々のミッションをこなしたこともあるDiaz氏は現在、宇宙空間での輸送におけるディーゼルエンジンと同氏が表現する、比推力(推進剤の質量流量に対する推力の大きさ)の高いエンジンを開発する企業のトップとして采配を振るっている。

 同氏が立ち上げたAd Astraはサステナブル(持続可能)な輸送機関の実現という野望も有しており、同氏の母国であるコスタリカ向けに水素燃料電池のインフラや自動車も開発した。

 Diaz氏はさまざまな話題に及んだ今回のインタビューの中で、宇宙競争の状況やサステナビリティー(持続可能性)、リーダーシップに関する考えを語ってくれた。

ロケットエンジンの開発には長い時間がかかる

 Diaz氏が2005年にAd Astraを設立したきっかけは、NASAの組織再編により同氏が所属していた研究部門の重要度が下がったことにあり、スピンオフする形で民間組織を立ち上げたのだという。Ad Astraはその研究部門が取り組んでいた比推力可変型プラズマ推進機(VASIMR)を発展させ、NASAが再び興味を抱くようなところにまで昇華させた。この電気推進機は宇宙機が宇宙空間に達してから使用されるエンジンであり、既にソーラーパネルからの電力で動作するところにまで到達している。NASAからスピンオフし、民間企業として立ち上げられたAd Astraがここに至るまでに15年を要している。

これは技術の集積によってもたらされた成果だ

 Ad Astraの推進機が成熟を見たのは、宇宙空間内の推進機を動作させられるだけの高出力ソーラーパネルをはじめとするさまざまな技術が集積された結果によるところが大きい。Diaz氏は次のように述べた。

 電気推進機は以前から構想されている技術であり、イオンエンジンや、ホール効果を利用するホールスラスター、プラズマロケットが研究されてきている。われわれが取り組んでいるのはプラズマロケットだ。しかし、今までは動力、すなわち電力の不足で進歩が阻まれていた。これには電力が必要だが、電力は今まで宇宙空間では貴重な資源だった。現在ではソーラーパネルとソーラーアレイの効率が大きく向上し、より強力な推進機を駆動できるようになっている。このためわれわれは、大きな電力を活用できる新たなタイプのエンジンによってこの分野に取り組んでいる。要するに、われわれは宇宙のディーゼルエンジンのようなものを開発しているのだ。

今日の力の源は1970〜1990年代の研究だ
そして現在の研究者/グループ間での知識共有が成果につながった

 昔はプラズマ/核融合物理の研究者らとロケットの研究者らが語り合ったりはしていなかった。Diaz氏は「こうしたコミュニティーの力を結集する必要があった。1980〜1990年代ではこれが大きな難関だった。ただ幸いなことに、われわれがNASAにいるうちに、こういったことを実現できた」と述べた。

 同氏は「今日ではグループ間でのより密接なコミュニケーションが図られている。私の考えでは、人々の分野を越えた交流が増えてきており、それがマッシュアップの加速につながっている。また、インターネットによってこの種のコミュニケーションが流動的に、そして非常に効率的なものになっているとも考えている」と付け加えた。

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