ウィズコロナのオフィスデザイン--“脱・島型”で換気が重要、柔軟に配置 - (page 2)

河部恭紀 (編集部)

2020-07-17 07:40

 あと、私たちのなかで推奨しているのは、社内でも「Zoom」を常につなぎっぱなしにするということで、遠くにいる人にもすぐに話しかけられるような環境を作るようにしています。フリーアドレスで違うフロアにいても、多少のコミュニケーションが取れたりするのかなと思っています。

--安全性のために作業効率を犠牲にするというのではなく、両方とも担保するというのが重要という考え方でしょうか。

 そうですね。やはり、両方を兼ね合わせるということですね。あと、CO2が増えることで頭も回らなくなるので、換気を取ることによって、身体面での作業効率も改善されていくのではとも思っています。

換気システムはいじれない

--ウィズコロナ時代のオフィス環境を整えたいといった場合、制約としてはどのようなものがあるのでしょうか? たとえば、コストが挙げられると思いますが。

 はい、コストもそうなのですが、高層ビルや大きなビルでよくあるのは、換気システムといったインフラをいじれないといったことがあります。その場合、オフィスが個室に区切られていて、たとえば秘書室に換気扇がなかったりすると、多少のセキュリティは考慮しつつも、壁を取り払うといったような提案をしたりします。

 それによって、少しでも換気を良くするレイアウトにということを考えています。あと、空気が廻りづらいところにはデスクを置かない、それも難しければ、窓を開けて換気できるとろにデスクを置くとかですね。

 中小企業でもアクリル板で仕切りをするぐらいのことがよく導入されていると思います。ですが、そこを少し工夫して、病院とかで最近取り入れられている抗菌や制菌のロールスクリーンがあるのですが、それを天井から吊り下げるようにします。アクリル板を毎日拭いて対応するよりは、抗菌性や制菌性のあるロールスクリーンにするといった、そもそもの素材を変えるというのが今後の注目点だと思っています。

 あと、素材でいうと、(抗菌性があると言われている)銅や真鍮が注目されています。ドアノブといった接触の多い部分にそういった新しい素材を取り入れるのは、中小企業でも簡単にできることなのではと思っています。

--中小企業でもコストのかからないところから対応を進めていくことができるということですね。

 そうですね。手軽に始められる部分を第1段階として、そこから、空気環境を見直して換気システムを変えるといった設備的な部分に投資していくのが良いのではと思っています。

--ポストコロナ時代の新しいオフィスデザインを提案されていますが、問い合わせはありましたか。

 はい、具体的に問い合わせがありまして、換気能力とデスクのレイアウトについて相談があり、500人ぐらいの規模の会社と打ち合わせを始めている段階です。ワンフロアで100人ぐらいがいるような会社で、換気をすごく気にされていて、オフィスも一般的な島型のレイアウトになっています。規模の小さい会社ですと15人ぐらいの会社からの相談がありました。

オフィスという場所の意味

--提案されているオフィスデザインは、最終形としてどの企業でもそのまま実現することを目指しているものなのでしょうか?

 概念としては、私たちの中で結構揺るぎないものではあります。テレワークよって自宅で作業するのに慣れてしまったという声もありますが、そこで、オフィスの価値を上げるとなると、積極的にパフォーマンスやコミュニケーションを上げてく場にオフィスはなっていった方が良いのではと思っています。

 そういった意味で、新しい生活様式という中で働いていくとなると、ソーシャルディスタンスとフレキシブルユースというのが今後のオフィスデザインには不可欠になってくる要素なのでは、という社内の意見としてまとまっています。

 それにプラスして、遊び心とオフィスの魅力というのを追求してデザインに取り組んでいきたいなと考えている状況です。

 経営者さんとかオフィスデザインを依頼されるクライアントさんでも注目度は高く、どうしてもそういう話になってきます。経営者さんも社員の皆さんを守りたいという気持ちが強いので、ただ単にデザインを追求していく時代ではないのかと思っています。機能性だったり空気環境だったり、デザインとしても総合的なものになっている感じがします。

--現在、在宅勤務の広がりを見せています。オフィスに行かなくても仕事ができる、オフィスに行って安全なのかという考えもある中、オフィスの役割とは。

 オフィスの魅力というか、オフィスに来る意味というのは、人と直接会ってでしか生み出されないコミュニケーションだったり、生産性を上げる場所だったりということがあると思います。あと、テレワークで1人で作業しても、そこから重大な決断をしたり、自分の作業を発酵、進化させたりという意味では、オフィスという場所で人が集まっていろいろな意見をぶつけ合って、アイデアだったり、仕事だったりを進行させるという意味で、パフォーマンスや決断を出す場所としては、すごく重要だと思います。

 テレワークですごく作業効率が上がったり、作業の分担ができたりしたと思うのですが、その分、決断が遅くなってしまったりといった問題も聞いています。

 仕事を上手く円滑に進める上で、何人かとのコミュニケーションによって進行させていく場所として、オフィスを有効に使ってもらいたいなというか、活用すべきではないのかなと思っています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]