本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本マイクロソフト執行役員常務クラウド&ソリューション事業本部長兼ワークスライル改革推進担当役員の手島主税氏と、日本ヒューレット・パッカード取締役 執行役員HPC&AI事業統括の根岸史季氏の発言を紹介する。
「ニューノーマルではリモートを価値に変えることが重要だ」
(日本マイクロソフト執行役員常務クラウド&ソリューション事業本部長兼ワークスライル改革推進担当役員の手島主税氏)
日本マイクロソフト執行役員常務クラウド&ソリューション事業本部長兼ワークスライル改革推進担当役員の手島主税氏
日本マイクロソフトは先頃、長谷工コーポレーション(以下、長谷工)とアウトソーシングテクノロジーが推進する最先端のデジタル技術を活用した建設・不動産業界における生産性改革を支援する取り組みについて、3社で共同オンライン記者会見を開いた。手島氏の冒頭の発言はその会見で、ウィズコロナ、アフターコロナのニューノーマル(新常態)においてMicrosoftが顧客に対して果たすべき役割について述べたものである。
3社による取り組みの一環として、長谷工とアウトソーシングテクノロジーは、マンションの外壁タイル打診検査のための複合現実(MR)ソリューション「AR匠RESIDENCE」を共同開発した。同ソリューションは7月より、長谷工リフォームが建物診断を行う関東エリアに導入し、順次、全国へ活用を広げていく予定だ。日本マイクロソフトによると、マンションのタイル打診検査にMRが活用されるのは国内初とのことだ。(写真)
長谷工コーポレーション、アウトソーシングテクノロジー、日本マイクロソフトの3社による共同オンライン記者会見
3社の取り組みの詳細については発表資料をご覧いただくとして、ここでは手島氏の冒頭の発言に注目したい。同氏は、ニューノーマルにおいてMicrosoftが顧客に対して果たすべき役割について、表に示すように3つのキーワードを挙げながら次のように説明した。
Microsoftが顧客に対して果たすべき役割
1つ目の「Remote Everything」については、「リモートで距離があることをデメリットにするのではなく、いかにメリットに、価値に変えることができるか。私たちはお客さまに対して、リモートを価値に変えるためのご支援に努めなければならない」と語った。冒頭の発言はこの説明を集約したものである。
2つ目の「Automate Everywhere」については、「これからはどのような業務も自動化を追求することによって、どのような危機や障害が起ころうとも業務を止めてはならない。業務を継続させるために、私たちも全力でご支援していく」と述べた。
3つ目の「Simulate Anything」については、「ニューノーマルにおいては何が正解か、誰にも分からない。従って、今起きていることを的確に捉え、不確実な中でもさまざまなシミュレーションを行いながら、今後をできるだけ正確に見通していくことが求められる」と説明した。
ちなみに、表の一番上に表記されている「2年分のデジタルトランスフォーメーション(DX)が、2カ月で起きた」とは、MicrosoftのSatya Nadella CEOが新型コロナウイルス感染拡大に伴って起きた現象について語った象徴的なコメントである。上記の3つのキーワードはMicrosoftだけでなく、まさしくニューノーマルにおけるDXの基本要素になっていくだろう。