海外コメンタリー

AIの導入に立ちはだかる5つの壁と対応策 - (page 4)

Greg Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-07-21 06:30

正しい準備の整え方は?

 ミッション、データとインフラ、倫理上のニーズを正しく理解し、それをしっかりとしたAI戦略の中で明確に示すことができる組織は、AIを活用できるだろう。「人間中心設計」などのデザイン戦略に基づき、設計と開発の段階で、エンドユーザーのニーズをシステムの設計に反映すべきだ。優れたデータ戦略には、企業全体でデータのラベリング、検証、クリーニング、整理を行うための標準化された手法が伴う。また、オープンソースのプラットフォームソリューションを利用すれば、データの健全性やデータ系列についても扱いやすくなり、組織のデータサイロを取り除き、企業規模でデータ管理にアプローチするのに役立つだろう。最後に、AIを実現するにはコンピューティングパワーが必要であるため、AIソリューションを支えるインフラ(クラウドやGPU)への投資は不可欠だ。

 結局のところ、ミッション、データ、インフラ、倫理上のニーズについて整理し、優先順位を付け、それを実行するために事前に十分な時間を取ることが、長期的な成功につながるだろう。

AIを利用する組織や企業は増えるのか

 民間部門では、AIや高度なアナリティクスを導入する準備が整っている兆候が見えており、実際に準備が整っている企業も多い。公共部門と民間部門の両方が導入の過程で課題にぶつかっているが、歴史を振り返ってみれば、技術革新はいつかは成し遂げられるものだ。また幸い、AIはテクノロジー分野やその隣接分野で多くのリーダーから注目されており、AIの構築と導入に関しては、しっかりとした議論が交わされている。

 それに加え、多くの企業が、独力で取り組みを進めるのではなく、さまざまな要素をまとめ上げるためのパートナーシップを重視していることもよい傾向だと言える。例えばBooz Allenは、公共部門向けにAIに関する誤解を解く取り組みを進めており、NVIDIAと協力して、同社の深層学習に関するトレーニングを米国の連邦政府機関に提供している。両社は、2019年だけで15の機関の職員にトレーニングを提供した。

 AIがもたらす未来の可能性への期待は高まっている。AIはすでに、サイバー犯罪との戦いで重要な役割を果たしており、新型コロナウイルスの感染拡大に対する世界的な対応を加速するためにも利用されている。ただし、AIは本来、一見複雑に見える課題に取り組む人間を手助けするための存在であることを忘れてはならない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]