SAPは現地時間7月27日、2020年第2四半期決算(2020年4~6月期)を発表(PDF)した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な感染拡大)にも関わらず、クラウドの売上高が安定しており、営業キャッシュフローが大幅に増加したという。
第2四半期は、国際財務報告基準(IFRS)に基づく売上高が前年同期比2%増の67億4000万ユーロ(非IFRSベースの固定通貨換算ベースでは1%増)となり、2020年第1四半期の65億2100万ユーロから改善した。1株当たり利益は0.73ユーロ(非IFRSベースでは1.17ユーロ)だった。
IFRSベースの営業利益は、前年同期比55%増の12億8000万ユーロ。非IFRSベースでは19億6000万ユーロで8%増(固定通貨換算ベースは7%増)だった。税引き後利益は、8億8500万ユーロとなった。
2020年上半期(1〜6月)の営業キャッシュフローは37億7000万ユーロで、前年比41%増だった。同社は、多額の事業再編費用から回復し始めたほか、税金の支払いが予想を下回ったからだと述べている。
SAPの主要なクラウドおよびソフトウェアライセンス事業は、新型コロナウイルスの影響を受けており、同社は第1四半期にライセンス契約のバックログが66億5000万ユーロに達したと報告している。
クラウドのバックログはほぼ変わらず、クラウドの売上高はIFRSベースで前年同期比21%増の20億400万ユーロ、非IFRSベースでは19%増、非IFRSの固定通貨換算ベースでは18%増だった。ソフトウェアライセンスの売上高は、IFRSベースと非IFRSベースで前年同期比18%減の7億7000万ユーロとなった。
クラウドとソフトウェアの全体的な売上高は、IFRSベースで前年同期比4%増の57億1000万ユーロ、非IFRSの固定通貨換算ベースでは3%増となった。
第2四半期に統合基幹業務システム(ERP)「SAP S/4HANA」の導入顧客が500社増えて、前年同期より22%増加した。S/4HANAの現在の顧客数は1万4600社を上回った。
SAPが報告する4つの主要事業セグメントである「Applications, Technology & Support」「Qualtrics」「Concur」「Services」は、新型コロナウイルスによる混乱にも関わらず、2020年第2四半期を通して比較的好調に推移した。
Applications, Technology & Support部門は、前年同期比3%増の53億1000万ユーロだった。
出張・経費管理システムを展開するConcur部門の売上高は前年同期比4%減の3億7900万ユーロで、第1四半期の4億2800万ユーロから大幅に減少した。SAPは「COVID-19危機で出張が大幅に減ったため」だと説明している。
エクスペリエンス管理基盤を展開するQualtrics部門の売上高は、前年同期比34%増の1億6800万ユーロだった。
SAPは26日、Qualtricsを上場させる意向を発表した。しかし、所有権の過半数を維持する予定で、新規株式公開(IPO)の時期については未定である。
SAPの最高経営責任者(CEO)のChristian Klein氏は「当社のQualtrics買収は大きな成功を収めており、2019年にクラウド事業の成長率が40%を超えるなど、現在の状況で極めて好調な業績を達成している」と述べた。「今後も市場参入と研究開発における、最大かつ最も重要なパートナーであり続ける一方、Qualtricsが提携を通じて基盤を拡大し、エクスペリエンス管理のエコシステム全体を構築することで、より大きな独立性を発揮できるようにしたい」(同氏)
デジタルトランスフォーメーション(DX)とインテリジェンスを含むServices部門の売上高は、前年同期比6%減の7億9600万ユーロだった。
SAPは2020年の事業見通しを確認し、クラウドの売上高が非IFRSベースで83億〜87億ユーロ、総売上高が固定通貨換算ベースで278億〜285億ユーロになると予想。営業利益は固定通貨換算ベースで、81億〜87億ユーロになると見込んでいる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。