AMDは2020年第2四半期(4~6月期)の決算を発表した。その数字は市場予測を上回るもので、PC用プロセッサー「Ryzen」とサーバー用プロセッサーの「EPYC」に対する需要が高まったことで、売上高は前年同期比26%増となった。
同社の第2四半期の売上高は19億3000万ドル、純利益は1億5700万ドル(1株あたり13セント)だった。非GAAPベースの1株当たり利益は18セントとなった。
アナリストは売上高を18億6000万ドル、非GAAPベースの1株当たり利益を16セントと予想していた。
AMDの最高経営責任者(CEO)Lisa Su氏は、RyzenとEPYCの売上高が前年同期比で2倍以上になったと述べている。第3四半期の見通しについては、売上高を前年同期比約42%増の25億5000万ドル(プラスマイナス1億ドル)とした。
同社は「前年比および前期比での増加は、主にRyzenプロセッサーおよびEPYCプロセッサーの売上と、次世代セミカスタム製品がけん引すると予想される」と述べている。
Intelは先週、7nmプロセス製品の開発ロードマップが遅れていることを明らかにした。また、技術開発を担う幹部の再編も発表している。AMDに市場シェアを切り崩すチャンスを与えてしまっているかもしれない。またAMDは、グラフィックス市場でもNVIDIAと競合している。
Su氏は業績発表カンファレンスコールで次のように述べている。
第2四半期にはサーバー事業およびモバイルプロセッサー事業が大幅に加速し、RyzenプロセッサーとEPYCプロセッサーの売上高が、前年同期比で2倍以上の伸びを見せた。重要なのは、目標としていたサーバープロセッサー市場における2桁シェアが達成されたことだ。当社の第2四半期売上高の20%をデータセンター製品が占めている。
当社は、EPYCプロセッサーを発売して以来、長期的な成長のための強固な基盤を構築することを重視してきた。当社の戦略は、業界をリードするクラウドプロバイダーやハードウェアメーカーからの広範な支持を受けて、幅広く大量の製品導入を推進していくことを土台としている。
またエンタープライズ市場では、AMDのプラットフォーム数が2020年になって40%以上増加し、獲得可能な最大市場規模も大幅に拡大された。
AMDに関するセンチメントが強気に傾いているのは、サーバー市場のシェアとEPYCが好調なためだ。WedbushのストラテジストBrad Gastwirth氏は、調査ノートで、AMDはサーバー市場のシェアを拡大できる可能性があると述べている。
AMDは「Opteron」でマルチコアへの移行で先行したが、このチップ設計サイクル以降は技術的なリードを維持できず、Intelが設計面で追いつき、製造能力面の優位を生かしてAMDを押し返した。
今回はその時とどう違うのだろうか?その違いは、AMDはチップレットへの移行で先行しているだけでなく、Intelが7nmで遅れを見せていることで、今後2年間以上にわたって、同等以上の水準にあるTSMCのプロセス技術を活用できる点にある。
AMDはGoogle Cloud、Amazon Web Services(AWS)、Oracleのデータセンターでの採用を発表している。Dell TechnologiesやIBM、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Supermicroなどのインフラ技術企業も、EPYCを採用したシステムを発表している。Moor Insights & StrategyのプレジデントであるPatrick Moorhead氏は、「サーバーCPUのEPYCの売上高が前年比で2倍以上の伸びを見せたのは喜ばしいことだ。EPYCの売上高が伸びたのは、主にクラウドサービス、SaaS、HPCの各分野の企業がこのプラットフォームを次々に採用しているためだろう。非IoTサーバー市場でシェアが伸びた可能性がある」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。