新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにオフィスの在り方が変わってきた。在宅勤務の普及が進み、企業がコスト削減も見込んで都心のオフィス面積を減らす一方、郊外や地方にも分散した形の「オフィス・アズ・ア・サービス」が広がる気運が出てきた。この動きは働き方にも大きな影響を及ぼしそうだ。
コロナ禍で「オフィス・アズ・ア・サービス」が広がる気運に
「コロナ禍の影響でオフィスも必要なときに必要な分だけ利用される契約が増加しそうだ」――。不動産会社に勤める知人から、最近こんな話を聞いた。「必要なときに必要な分だけ利用」というのは、IT分野で言えばクラウドサービスによる「アズ・ア・サービス」が頭に浮かぶ。とすると、不動産分野ではこれから、「オフィス・アズ・ア・サービス」の動きが広がっていくということか。
ただ、この動きはコロナ禍以前からあった。複数の企業や個人が共同で利用する「シェアオフィス」がそれだ。時間単位の支払いや月額契約で利用できるとあって、新たな働き方としても注目されつつあったが、コロナ禍で多くの企業がテレワークを導入する中で、在宅勤務が難しいワーカーからも注目を集める形となっている。
そんな折り、シェアオフィスをめぐって7月28日に興味深い発表があった。JTBとNECソリューションイノベータが、東京都心とその郊外のホテルの遊休スペースを活用したシェアオフィス事業を8月31日に開始するというものだ。
両社が手掛けるシェアオフィス事業とは、契約した企業の社員にホテルの客室や会議室などをシェアオフィスとして利用してもらうことで、テレワークに適した環境を提供するとともに、通勤電車の混雑緩和に貢献し、場所や時間に縛られない多様な働き方を提供するものだ。また、稼働していないホテルの客室や会議室、宴会場などの遊休スペースをシェアオフィスとして活用することで、ホテルにも新たな収益モデルを提供するとしている。(図1)
シェアオフィス事業のイメージ(出典:JTBとNECソリューションイノベータの発表資料)
まずは、東京都とその周辺都市でサービスを開始し、2021年3月頃までに名古屋、大阪へ提供エリアを広げる計画。さらに、利用企業のニーズに応じて順次拡大し、2022年3月までに全国展開を目指す構えだ。詳細については発表資料をご覧いただきたい。