欧州連合(EU)は現地時間7月30日、EUの市民や企業を対象にしたサイバー攻撃を実行したとして、中国とロシア、北朝鮮の組織や個人に対する制裁措置の発動を決定した。

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欧州理事会の決定に従い、EUは以下の国に対する制裁措置を発動する。
- 中国:「Operation Cloud Hopper」(クラウドホッパー作戦)による、複数のクラウドプロバイダーなどに対する一連の侵入行為。
- ロシア:ロシア軍が開発したランサムウェア「NotPetya」によるウクライナへの攻撃。なお、このランサムウェアは後に世界中に広まった。
- ロシア:オランダのハーグに置かれた化学兵器禁止機関(OPCW)に対するサイバー攻撃の試み。なおオランダ政府は当時、ロシアのミサイルによってマレーシア航空17便(MH17)がウクライナで撃墜された事件を調査していた。
- 北朝鮮:国家運営資金を獲得する目的で政府のハッカーらが開発したとされるランサムウェア「WannaCry」による攻撃。
制裁は渡航の禁止および資産の凍結が主な内容となっている。
EUの市民と企業は、以下の制裁対象リストに載っている人物や組織とのやり取りについても禁じられる。個人6人と3組織が対象となっている。
- GAO Qiang(高強):中国
- ZHANG Shilong(張士龍):中国
- Alexey Valeryevich MININ:ロシア
- Aleksei Sergeyvich MORENETS:ロシア
- Evgenii Mikhaylovich SEREBRIAKOV:ロシア
- Oleg Mikhaylovich SOTNIKOV:ロシア
- Tianjin Huaying Haitai Science and Technology Development Co. Ltd(天津海泰科技発展有限公司/Huaying Haitai):中国
- Chosun Expo(北朝鮮)
- ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU/GU)のMain Centre for Special Technologies(GTsST):ロシア
EUの担当官によると、リストに掲載した2人の中国人は、Operation Cloud Hopperと呼ばれるサイバースパイ活動の背後にいた中国のハッキンググループAPT10のメンバーであり、4人のロシア人は、OPCWのWi-Fiネットワークに対してハッキングを仕掛けたGRUのエージェントだという。
EUによると、今回の制裁措置の発動は、加盟国に対する他国からのサイバー攻撃を契機にした初のケースだという。
米国は、これらのサイバー攻撃を実行したという理由で今回の制裁措置の対象となった一部の人物に対する制裁措置を既に発動しており、米政府は大西洋をはさんだ西側諸国に対して同様の措置を採るよう強く求めていた。
最近ではドイツも、ドイツ連邦議会に対する数年前のハッキングを理由として、ロシアに対する類似の制裁措置を採るようEUの加盟国に求めている。
ロシアは、ドイツ政府がハッキングの証拠を提供していないとした上で、事件として真相を究明するのではなく、制裁を発動することが目的になっていると主張している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。