ビジネスリーダーとテクノロジストでは、人工知能に対する見方が異なる。そのこと自体に驚く人は少ないだろうが、ある調査によって、AIプロジェクトの進捗状況や、企業の課題を解決するためにAIプロジェクトに何が必要かについて、両者の意見がどう異なっているかが明らかになった。例えば、適切なデータがないことを問題視しているテクノロジストの比率は、ビジネスリーダーの約2倍だ。
Appenが最近公表した、374社の企業を対象に実施された調査のレポートによれば、「この違いは、ビジネスリーダーが、現在持っているデータがAIの大規模な導入には適していないことを理解していないために起きている可能性がある」という。AIが直面している問題について尋ねた質問では、スキルの問題やデータ不足を挙げるテクノロジストの割合が、ビジネスリーダーよりも多かった(それぞれ24%対21%、17%対9%)。一方で、ビジネスリーダーはAIプロジェクトの阻害要因に関して、テクノロジストよりも予算の問題や、経営陣の支持を挙げる傾向が強かった(それぞれ18%対13%、17%対12%)。
興味深いことに、テクノロジストは自社のAIプロジェクトの進捗を高く評価する傾向が強く、40%が全ユーザーを対象としたグローバルなロールアウトを実施済みと評価しているのに対して、同じように答えたビジネスリーダーは27%にすぎなかった。しかし、両者の意見が一致する重要な点が1つあった。それは、まだ多くの仕事が残っているということだ。自社のAI導入が遅れているかを尋ねた質問では、テクノロジストかビジネスリーダーかを問わず、回答者の50%弱がイエスと答えていた。
さらに、4月と5月に実施されたこの調査では、新型コロナウイルスの危機がAIプロジェクトに大きな悪影響を与えていないと認識されていることも明らかになった。回答者の3分の2強(70%)が、新型コロナウイルスがAI戦略にマイナスの影響を与えるとは考えていなかった。また、5人に1人(20%)はプロジェクトが大幅に加速していると回答した一方、AI戦略に大きな遅れが出ていると回答した企業は9%にとどまった。