目前に迫っているデータアナリティクス経済の到来に立ち向かうためには、IT部門か事業部門かを問わず、十分なスキルを備えた人材をそろえる必要がある。しかし多くの組織では、まったく準備が整っていない。ただし企業では、新型コロナウイルスによって急激にデジタルトランスフォーメーションを進めざるを得なかったことを受けて、重要なテクノロジー分野の人材トレーニングが強化されている。
提供:Joe McKendrick
これが、Netwrixが937人のプロフェッショナルを対象として実施した調査の結論だ。この調査では、新型コロナウイルスの危機を受けて、IT部門の優先順位がどう変化したかを調べた。2020年6月に実施されたこの調査では、企業ではITスキルが不足しており、ITスタッフの教育に対する投資の優先順位を上げざるを得なくなっていることが分かった。IT教育への投資を計画している最高情報責任者(CIO)やITディレクターの割合は、2019年末には20%だったが、危機の広まりを受けて、パンデミック後には以前の2倍近い38%まで増加している。また、多くの企業で採用を凍結している中、回答者の31%が、すでに雇用しているITプロフェッショナルの教育は、スキル不足を解消するための有力な選択肢だと考えていた。
ただし、今後企業で必要とされる可能性が高い、人工知能(AI)スキルの習得に対する投資や支援はまだ十分ではなかった。米国の政策シンクタンクである超党派政策センターは、最近、米国の公的機関や民間組織が世界経済をリードしていくためには、AIに関する教育とトレーニングを強化する必要があると強調するレポートを発表している。同レポートでは、「AI人材の不足を埋めるためには、トレーニング、人材採用、熟練労働者の雇用継続に対する的を絞ったアプローチが必要となる。理想的に言えば、このAI人材は、倫理を含む学際的なスキルセットを身につけていることが望ましい」と述べている。
レポートによれば、テクノロジー企業以外の企業も、AI関連スキルを持つ人材の獲得競争に参入しており、「(競争は)ビジネスでAIの強みを利用しようとしている、ほとんどの産業に広がっている。例えば、自動運転車の開発競争が激化したことで、自動車業界とシリコンバレーが同じ専門家を奪い合うようになった」という。