Oracleは米国時間8月6日、「Oracle Cloud VMware Solution」の提供を拡大し、同社のパブリッククラウドの全リージョンと、顧客のデータセンター内に構築される「Dedicated Region Cloud@Customer」で利用可能にすると発表した。2019年9月に発表された同ソリューションは、顧客が実質的に「Oracle Cloud Infrastructure」上で、VMwareのハイブリッドクラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation」のソフトウェアスタックを完全に実行できるようにする。
このサービス拡大は、オンプレミスのワークロードで定着している法人顧客を獲得して、パブリッククラウド市場での足固めを目指す、同社の取り組みの一環となる。
Oracle Cloud VMware Solutionは競合するパブリッククラウドとは異なり、企業は自社が完全に管理するVMware環境にアクセスできる。また、「ESXi」管理用の「VMware Host Client」など、他のパブリッククラウドでは利用できない主要なサービスを利用できるとOracleは説明している。
OracleクラウドGTM担当バイスプレジデントのRoss Brown氏は米ZDNetに対し、「これは、完全なVMware環境、運用がより難しい環境を稼働させている顧客向けだ」と説明した。「大規模なアプリケーション、特にエンタープライスクラスのパフォーマンスのアプリケーションを稼働させているエンタープライズ顧客」を想定しているという。
Oracleは基本的に、企業が自社テナントで、テンプレート化されたVMware Cloud Foundation環境を3ノードソリューションとして利用できるようにした。これにより、暗号化の管理やVMwareイメージへのアクセス制御など、企業は「VMwareテナントで起こるすべてのことを保護して、自社の管理下に置くことができる」とBrown氏は説明した。
またこのサービスは、顧客がOracleのクラウドネイティブサービスをすべて利用できるようにする。
「VMwareの顧客で、Oracleデータベースをバックエンドで使用している場合、VMwareをネイティブレベルのスピードで実行しながら、クラウドデータベースの恩恵を受けられる、最良の環境だ」(同氏)
同社のサービスは、大手クラウドプロバイダー3社が提供する「VMware Cloud on AWS」「Azure VMware Solutions」「Google Cloud VMware Engine」に対抗するものとなる。
しかしBrown氏によると、これらのサービスは顧客のテナントでVMware環境を提供しないため、制約がある。
一方Oracleは、ベアメタルクラウドのコンピュートインスタンス上で、VMwareコンポーネントのフルスタックを提供することで、そのような制約を取り除いていると同氏は述べた。例えば、Oracle Cloud VMware Solutionは、同じOracle Cloudテナント上で、VMwareの複数バージョンに対応できるため、アプリケーションのライフサイクル管理が可能だ。
Brown氏は、「多くのVMware環境、(Oracleや)SAPなどのベンダーにより稼働しているアプリケーションは、前のレベルのバージョンのハイパーバイザー向けの認定を受けている」とし、「現在のものを取得するには時間がかかる」と話した。
このサービスは最小3ノードのコンピュートクラスターからとなり、1クラスター当たり64ノード、同一環境で複数クラスターへとスケールアウトできる。Brown氏によると、概算で月額料金は約2万5000ドルからということになるが、これは多くのオンプレミスの顧客が支払っている金額を下回るという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。