ウェブ会議ベースの新サービスにみる日本マイクロソフトの危機意識 - (page 2)

松岡功

2020-08-13 07:00

新サービスでMicrosoft TeamsはZoomを追撃できるか

 以上が発表の概要だが、今回この新サービスに注目したのは、日本マイクロソフトがMicrosoft TeamsをはじめとしたMicrosoft 365の中堅、中小企業向けキャンペーンを日本独自の取り組みとして打ち出したからだ。本来なら、メディアにもっと大きく取り上げられるキャンペーンのような気もするが、同社のブログ上での発表だったため、比較的“静かな”スタートとなった。

 だが、そのブログには、新サービスの導入に関しては「マイクロソフト認定クラウドソリューションプロバイダーに直接お問い合わせください」として、19社のプロバイダーの問い合わせ先を含めたリストが掲載されている。メディア向け発表というよりキャンペーン告知といった印象だ。

 どちらにしろ、筆者はこの発表に日本マイクロソフトの強い危機意識を感じた。というのは、国内のウェブ会議システム市場において、Microsoft Teamsは急成長を遂げているものの、その先を行くウェブ会議サービス「Zoom」を追撃できていない状況だとみられるからだ。

 MM総研が先頃発表した2020年4月末の調査時点での国内利用率シェアによると、Zoomが35%だったのに対し、Microsoft Teamsは18%だった。ただ、マイクロソフトが提供する「Skype」も18%のシェアを占めたことから、マイクロソフト勢としては互角に戦っている状況だが、今後の注目はやはり「Zoom対Microsoft Teams」の行方だろう。

 この戦いは、単なるウェブ会議の領域にとどまらない。Zoomサイドは最近ウェブ会議を起点とした「サービスプラットフォーム」を標榜し、ビジネスエコシステム作りに注力している。一方、Microsoft Teamsは今回の新プランに見られるようにMicrosoft 365の重要な要素であり、今後はMicrosoftの総合力によってZoom以上にサービスプラットフォームとして利用領域を広げていく可能性が大いにある。

 ただ、今のところ、Microsoft TeamsはZoomに追いつけていない。今回の新サービスは、中堅、中小企業にとってウェブ会議システムを導入する有効な機会になるだろう。この攻勢によって、爆発的に普及したZoomの背中を捕まえられるか、注目していきたい。

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