ニュータニックス、「Nutanix Clusters on AWS」を一般提供--HCIソフトをAWS上に展開 - 4/8

渡邉利和

2020-08-14 11:00

 ニュータニックス・ジャパンは8月14日、「Nutanix Clusters on AWS」の一般提供を開始した。これは、同社のハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)ソフトと全製品・サービスの柔軟性や使い勝手をAmazon Web Services(AWS)環境の「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)ベアメタルインスタンスに拡大するものになる。

 別の言い方をするなら、NutanixのHCIシステムのハードウェア部分をAmazon EC2ベアメタルインスタンスに入れ替えることができるようになった、と表現することも可能だろう。これにより、オンプレミスとAWSの間で全く同じインフラを利用可能となり、ワークロードの自由な移動が可能になることに加え、オンプレミスやクラウドなどを横断的に移転可能な「ライセンスポータビリティー」も提供される。

米Nutanix APJ地域担当 フィールドCTOのJustin Hurst氏
米Nutanix APJ地域担当 フィールドCTOのJustin Hurst氏

 概要を説明した米NutanixのAPJ地域担当 フィールドCTO(最高技術責任者)のJustin Hurst氏は、エンタープライズユーザーの85%がオンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせた“ハイブリッドクラウド”が「理想的なIT運用モデル」であると位置付けている、といった調査結果を紹介。一方、オンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドでは基本的なアーキテクチャーが異なっていることから、ハイブリッドクラウドは複雑になりアプリケーションをそのままでは移行できないなどの問題が生じると指摘した。

 同氏は具体的に「パブリッククラウドでは、信頼性や耐障害性の確保はアプリケーションで行うが、プライベートクラウドではハードウェア/ストレージ/ネットワーキングのレイヤーで行っており、根本的に異なっている」と指摘。信頼性がインフラで確保されていることを前提として構築されたオンプレミス/プライベートクラウド向けのアプリケーションをそのままパブリッククラウド上で実行しようとすると、本来必要なレベルの耐障害性が確保できなくなるなどの問題が生じるとした。

 こうした不整合を避けようとすれば、アプリケーションをクラウド向けに書き直すなどの手間やコストが生じてしまうが、Nutanix Clusters on AWSであればオンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドとで全く同一のインフラを利用できる形になるため、アプリケーションをそのままどちらでも実行でき、運用管理などの面でも単一のスキルセットで対応できるようになるとした。

ニュータニックス・ジャパン マーケティング統括本部 プロダクト・マーケティング・マネージャーの三好哲生氏
ニュータニックス・ジャパン マーケティング統括本部 プロダクト・マーケティング・マネージャーの三好哲生氏

 続いて、詳細を説明したマーケティング統括本部 プロダクト・マーケティング・マネージャーの三好哲生氏は、Nutanix Clusters on AWSについて端的に「AWSベアメタルインスタンス上でオンプレミスと全く同じソフトウェアが動作する」と説明し、将来的にはAWS以外の他のクラウド環境への拡張も計画されているとした。

 利用に当たっては、ユーザーが自分でAWS内にVPC(Virtual Private Cloud)環境を確保した上でベアメタル環境上にNutanixソフトをインストールするという形になる。ライセンスに関しては、オンプレミスで利用しているライセンスをAWSに“持ち込む”BYOL(Bring your own License)のほか、パブリッククラウド向けの時間単位課金のPAYG(Pay as you Go)ライセンス、PAYGに対するボリュームディスカウント的な位置付けとなるCC(Cloud Commit)なども利用可能となる。さらに、無償で試用できるプログラムとして、「テストドライブ」「無料トライアル」「シングルノードフリー」なども提供される。

同社が想定する主なユースケースとワークロード。アプリケーションのクラウド移行(リフトアンドシフト)がそのまま可能になる点が基本。さらに、ワークロードとしてはHCIに向くと言われるVDIをクラウドに拡張するほか、オンプレミスで実現されている機能要件をクラウド上で同じように確保することが困難だったアプリケーションとして、I/O重視のアプリケーションが挙げられている。

同社が想定する主なユースケースとワークロード。アプリケーションのクラウド移行(リフトアンドシフト)がそのまま可能になる点が基本。さらに、ワークロードとしてはHCIに向くと言われるVDIをクラウドに拡張するほか、オンプレミスで実現されている機能要件をクラウド上で同じように確保することが困難だったアプリケーションとして、I/O重視のアプリケーションが挙げられている。

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]