ニュータニックス・ジャパンは8月14日、「Nutanix Clusters on AWS」の一般提供を開始した。これは、同社のハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)ソフトと全製品・サービスの柔軟性や使い勝手をAmazon Web Services(AWS)環境の「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)ベアメタルインスタンスに拡大するものになる。
別の言い方をするなら、NutanixのHCIシステムのハードウェア部分をAmazon EC2ベアメタルインスタンスに入れ替えることができるようになった、と表現することも可能だろう。これにより、オンプレミスとAWSの間で全く同じインフラを利用可能となり、ワークロードの自由な移動が可能になることに加え、オンプレミスやクラウドなどを横断的に移転可能な「ライセンスポータビリティー」も提供される。
米Nutanix APJ地域担当 フィールドCTOのJustin Hurst氏
概要を説明した米NutanixのAPJ地域担当 フィールドCTO(最高技術責任者)のJustin Hurst氏は、エンタープライズユーザーの85%がオンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせた“ハイブリッドクラウド”が「理想的なIT運用モデル」であると位置付けている、といった調査結果を紹介。一方、オンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドでは基本的なアーキテクチャーが異なっていることから、ハイブリッドクラウドは複雑になりアプリケーションをそのままでは移行できないなどの問題が生じると指摘した。
同氏は具体的に「パブリッククラウドでは、信頼性や耐障害性の確保はアプリケーションで行うが、プライベートクラウドではハードウェア/ストレージ/ネットワーキングのレイヤーで行っており、根本的に異なっている」と指摘。信頼性がインフラで確保されていることを前提として構築されたオンプレミス/プライベートクラウド向けのアプリケーションをそのままパブリッククラウド上で実行しようとすると、本来必要なレベルの耐障害性が確保できなくなるなどの問題が生じるとした。
こうした不整合を避けようとすれば、アプリケーションをクラウド向けに書き直すなどの手間やコストが生じてしまうが、Nutanix Clusters on AWSであればオンプレミス/プライベートクラウドとパブリッククラウドとで全く同一のインフラを利用できる形になるため、アプリケーションをそのままどちらでも実行でき、運用管理などの面でも単一のスキルセットで対応できるようになるとした。
ニュータニックス・ジャパン マーケティング統括本部 プロダクト・マーケティング・マネージャーの三好哲生氏
続いて、詳細を説明したマーケティング統括本部 プロダクト・マーケティング・マネージャーの三好哲生氏は、Nutanix Clusters on AWSについて端的に「AWSベアメタルインスタンス上でオンプレミスと全く同じソフトウェアが動作する」と説明し、将来的にはAWS以外の他のクラウド環境への拡張も計画されているとした。
利用に当たっては、ユーザーが自分でAWS内にVPC(Virtual Private Cloud)環境を確保した上でベアメタル環境上にNutanixソフトをインストールするという形になる。ライセンスに関しては、オンプレミスで利用しているライセンスをAWSに“持ち込む”BYOL(Bring your own License)のほか、パブリッククラウド向けの時間単位課金のPAYG(Pay as you Go)ライセンス、PAYGに対するボリュームディスカウント的な位置付けとなるCC(Cloud Commit)なども利用可能となる。さらに、無償で試用できるプログラムとして、「テストドライブ」「無料トライアル」「シングルノードフリー」なども提供される。