2拠点目のサテライトオフィスが流山市にオープンしたのは2017年のこと。こちらは宮田氏が「社員になってほしい」と思っていた人材のために立ち上げたという。原稿校正を依頼していた個人事業主のパートナーが、配偶者の転勤に伴い、愛知から茨城へ越してくると聞き、ぜひ一緒に仕事がしたいと説得した。千葉から通勤する従業員とも相談し、彼らが通勤しやすい立地の南流山を選んだ。フルリモート期を除いて常時4人の従業員が南流山オフィスに勤務する。
メリットは全員の“状態”の視覚化
これらの拠点に加え、常に在宅で働く従業員もいる。1名は埼玉県久喜市、1名は長野県長野市に暮らす。後者の従業員は家族の都合で東京から長野へ引っ越した。そのことは、同社がSococo導入に到るきっかけのひとつになったという。
「東京を離れるというだけの理由で、退職してほしくなかったんです。弊社で働き続けてもらう手段のひとつとして、Sococoの導入を検討しました。当時、本社は青山で、隣り合う2部屋を借りていたんです。2部屋を活用して遠隔っぽい状態を作り、通話品質やリモートならではのやりとりを繰り返しテストし、彼女が長野に拠点を移すまでに、懸念点を一つひとつ潰していきました」
長野で暮らし始める従業員に限らず、他の従業員もいつか別の拠点なり、在宅なりで仕事をする日が来る可能性がある。それを見越して、誰もがさまざまな場所で働いても不都合がないよう、必要な資料をクラウドに移したり、対面以上に求められる情報の的確な伝え方を練習したりと、来たるときのために準備を重ねてきた。
Sococoを使い続けて5年余。従業員は皆、出社してすぐにSococoにログインする。本社、サテライトオフィス、在宅、どこで働いていても、それが皆のルーティンだ。「それぞれがいる場所に関係なく、同じ空間で仕事をしている実感がある」と話すメンバーは少なくない。
数としては多くないが、他にも仮想オフィスサービスは存在する。その中でSococoを選択した理由について、宮田氏は「唯一無二のサービスだから」と言う。仮想オフィス空間の中で従業員をアバターで表示し、いる場所(部屋)を移動させたり、通話可能・離席中などのステータス(状態)を変更できたりする点が、とても便利なのだという。
![Sococo画面(アバター付近の姓はモザイク処理、画像は宮田氏提供)](/storage/2020/08/17/5fc77781d1363e3cec4c29b7989720c0/200817_sococo_2.jpg)
Sococo画面(アバター付近の姓はモザイク処理、画像は宮田氏提供)
オフィスの中で今どこにいて、誰と会議をしているのか、休憩しているのかなど、Sococoの画面では一目で把握できる。例えば、左上「品質管理部」にいる2人は、実際には異なる場所にいながら、音声などで打ち合わせをしている、ということだ。宮田氏は自分の「状態」を視覚的に示すことができるシステムを高く評価する。
「全員が別々の場所にいて、一口に『今、仕事中です』と言っても、どういう状態なのかは伝わりません。会社という同じ空間に揃っていれば、各自の状態はわかりますが、テレワークだと見えないですよね。Sococoで全員の状態が可視化されれば、『今、忙しいですか?』『話したいことがあるんですけど、今大丈夫ですか?』など、状態を確認するためのやりとりを挟む必要もないですよね」
アバターを見れば相手の状態がわかり、すぐに本題に入ることができる。そのように、本当に必要なコミュニケーションだけに集中できるのは、時短化・効率化につながるといえる。