三井物産流通ホールディングス(MRH)と、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は、7月に三井物産およびNTTとともに締結した「ブロックチェーンおよびIoT技術等の活用によるサプライチェーンDXに関する共同実験協定書」に基づいて、ブロックチェーンやIoT技術を活用したサプライチェーンのデジタル変革(DX)の実証実験を推進することになった。
ここでは、商品や物の流れを管理する「サプライチェーン情報基盤」と、企業間取引をデジタル化する「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」との連携を目指し、秋から実証実験を行う。コネクティッドバリューチェーンは、各企業間の取引を電子化することで価値をさらに創出するつながりを意味している。
MRHは小売・外食事業者向け食品・日用品雑貨の中間流通機能を担う事業会社4社を総合的に管理する機能を持つ。同社設立により、これまで培った流通事業会社各社の知見や資産の横断的活用が実現するとともに、グループ会社、サプライヤーやベンダーなどの各領域で抱える課題の全体最適化を行うことができる。
一方でNTT Comは、NTTグループの提唱する「コネクティッドバリューチェーン」の実現に向けて、各産業やプロセスにおけるバリューチェーンのデジタル化実現への取り組みを進めている。
三井物産グループとNTTグループは、グループ内事業会社を中心として、2019年より「リアルタイムデータを活用したフードロス削減」をテーマに共同実証実験を実施してきた。この取り組みの中で、ブロックチェーン技術とNTTの持つ特許技術の組み合わせにより、三井物産グループの持つ様々なサプライチェーン領域における新たなニーズの発見と、現在、各領域で抱えている課題の解決が実現できるめどが立ったという。
サプライチェーンDXの概要
今回の取り組みは、Ethereumをベースとしたブロックチェーン技術にNTT研究所が開発したブロックチェーン活用技術(トークン追跡効率化技術)を適用し、RFIDなどのIoTの情報と組み合わせた情報プラットフォーム「サプライチェーン情報基盤」を構築することで、情報の活用に向けた検証を行っていく。
さらに、この「サプライチェーン情報基盤」と「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」との連携を目指す。「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」は、NTT Comの企業間取引データプラットフォーム(仮称)を活用した複数の企業間の請求データをデジタル化・一覧化できる基盤のこと。
今後の取組みとして両社は、MRHの持つ事業領域における本実験成果の適用の可能性と、生み出す付加価値を可視化し、DXの具体的な活用方法を確立することで、さまざまな業界におけるサプライチェーン領域での事業化を目標にしている。