ガートナー ジャパンは、国内企業のITソーシングに関する調査結果を発表した。これによると、委託中の開発や運用保守への影響については、開発プロジェクトでは「一部工程における工期遅延」や「開発中システムの納期遅延」があったと回答した企業がいずれも40%を超えた。
さらに、リモートでの開発実施によりスケジュールの遅延を抑える動きについては、内部/外部ともに、「一部作業のリモートへの切り替え、自動化、作業の縮退などの代替策の導入」を進めている企業が54.0%に上った。また、「既存の外部委託取引における作業体制/作業環境の棚卸し」など、リモート化や自動化が可能な作業を特定するための活動に取り組む企業も40%近くに達している。

アウトソーシング取引における現在の対策実施状況 (実施中の項目)
調査は4月、国内企業のITリーダー向けにウェブb経由で実施した。有効回答企業数は400社だった。
ガートナーは、新型コロナウイルス感染への対策のみならず、今後は中長期的な視点で、事業継続やリスクマネジメントなど、アウトソーシングの継続性や安定性を高める施策をベンダーとの契約更新や選定で評価していくべきだとしている。
しかし今回の調査では、「委託先ITベンダー側の事業継続計画(BCP)ガイドラインの確認」「委託先ITベンダーのリスク・マネジメント規範の策定」「委託取引契約書中の『不可抗力』『免責事項』のパンデミック適用可能性の検討」に関しては検討中や未対応の回答が多く見られた。

社外のベンダー/人材を積極的に活用している領域
今回の調査では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みにおけるベンダーの活用の意向についても尋ねている。
その結果、DXの取り組みでベンダーを「積極的には活用していない」と答えた企業は13.0%にとどまった。約8割は、何かしらの領域で外部の人材を活用していることが明らかになった。
外部の人材を積極的に活用する領域としては、「企画案の創出((アイデア出し)」や「実証実験プロジェクトの遂行/管理」「実証実験におけるプロトタイプ作成や検証作業」といった項目の選択率が高い結果となっている。
この結果についてガートナーは、外部の人材については、大手ITベンダーがパートナー候補として挙げられるが、全ての大手ITベンダーが幅広いデジタルテクノロジーに精通しているわけではない点に留意すべきだとしている。
特定のデジタルテクノロジーに長けた小規模ITベンダーと直接組む機会や、補佐的な専門スキルを求める場合はクラウドソーシングやスキルシェアリングを介したフリーランスの活用も、これまで以上に検討していくべきだとしている。