昨今、デジタル変革やその関連テクノロジーが大きな注目を集めていることから、自社がまったく時代に追随できていないと考える人がいても不思議ではない。
しかしそう悲観的になる必要はない。というのも、アナリストによる高額なサービスを利用していない中小企業はどこも、テクノロジーを導入し始めたばかりだからだ。ここでの中小企業とは地元の機械工場や倉庫業者、造園業者などだ。米国勢調査局が最近公開した、2018年末時点での米企業58万3000社を対象としたデータ分析によると、タッチスクリーンや機械学習(ML)といった、十分に先進的だと言えるテクノロジーを実際に利用している企業はおよそ10社に1社となっていた。最も進んでいる業界は製造業であり、先進的なITを組み合わせている企業の割合は15%となっている。
提供:Joe McKendrick
このような状況から、テクノロジー推進者にとっての課題は、こういったテクノロジーへの投資を増やす必要性を企業に納得してもらうこととなる。その理由は、単にアジリティーや流動性、あるいは高名なアナリストやコンサルティング企業が約束するその他の聞こえの良い言葉を使うためではなく、現実世界での業務を実質的に改善するためにだ。
デジタル変革までの道のりは長いものになると断言できる。Industrial Internet Consortium(IIC)という組織(Object Management Groupと関連がある)が新たに公開した、産業分野のデジタル変革に関するホワイトペーパーは、この道のりを歩む企業の背中を押すテクノロジーと戦略の連携を理解する上でのヒントを、以下のステップに基づいて提供している。
- 業界のリーダーたちが何をしているのかを調査する
- 類似業界の発展状況を調査する
- 重要なユースケースを洗い出す
- 自社にとって最も適切なデジタル変革テクノロジーを推定する
- 主要なベンダーを洗い出す
- 展開計画を策定する
これら6つの基本的なステップには、それ自体を支える多くの物事がある。デジタルサービスをコンシューマーにもたらすというのは物事の一面でしかなく、産業分野では、自社内で情報テクノロジー(IT)と運用テクノロジー(OT)の力をまとめ上げるという特有の面もある。これは同ホワイトペーパーによると、「センサーが収集したデータや、データ駆動型機器の革新的な使用によって、人やビジネス、運用、物理的環境に影響を及ぼし、企業にとってのより良い成果を生み出すための力となる」ことを意味しているという。このため、テクノロジー推進者は自らの役割を拡大し、新たなビジネスモデルの創出に関するアドバイザーとなる必要がある。また同ホワイトペーパーには「これには、イノベーションで成功を重ね、これらの新たなプロセスや既存プロセス、管理システムの他部分との摩擦を低減することで可能になる新たな価値命題が含まれる。これらは管理システムの設計変更によって成し遂げられる」とも記されている。