レッドハット、「OpenShift」新機能などでエッジ対応強化へ

Steven J. Vaughan-Nichols (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2020-08-19 17:00

 Red Hatは米国時間8月17日、「OpenShift」の新機能などをはじめとする多数の発表を行った。同社はエッジコンピューティングに未来を見ており、「OpenShift」の最新リリースで、クラウドコンピューティングにおけるこの次のステージに向けて取り組んでいる。

 The Linux Foundationのネットワーキング担当ゼネラルマネージャーArpit Joshipura氏は、2025年までに「エッジコンピューティングがクラウドコンピューティングを追い抜く」と予測した。また、IBMのグローバルマネージングディレクター兼最高技術責任者(CTO)Bridget Karlin氏も、そこまで極端ではないものの、やはり「中央のクラウドセンターに比べてインスタンスの数が極めて多いことから、今後エッジコンピューティングは増加する」と述べている。Linuxとクラウドのトップ企業であるRed Hatは、その将来に備えて準備を整えている。

 より具体的に言えば、同社は「Red Hat OpenShift」と「Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetes」によって、Kubernetesベースのハイブリッドクラウドをエッジに導入しようとしている。これが実現すれば、顧客企業は、製造分野などにおける人工知能(AI)や機械学習の利用といった、エッジのワークロードの問題を解決できるようになるはずだ。OpenShiftとAdvanced Cluster Managementを組み合わせれば、ハイブリッドクラウドとエッジコンピューティング拠点の両方を、1カ所で簡単に管理できるようになる。

 Red Hatが今回発表したエッジコンピューティング向けの新たな機能には、次のようなものがある。

  • Red Hat OpenShift 4.5」での3ノードクラスターのサポート。ネットワークのエッジにある小規模な拠点で、エンタープライズKubernetesのフル機能を利用できるようになる。
  • Red Hat Advanced Cluster Management for Kubernetesで数千のエッジサイトを管理する機能。ハイブリッドクラウドを構成するコアサイトとエッジサイトを、一貫性のある単一のビューで管理できる。
  • エッジの需要を満たす進化するオペレーティングシステムとしての「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」。

 7月17日にリリースされたOpenShift 4.5には、ほかにも機能が追加されている。その中でも特に重要なのは、「VMware vSphere」環境におけるデプロイメントのフルスタックの自動化に対応したことだろう。これによって、「ボタンを押す」だけでサポートされているvSphere環境にOpenShiftをデプロイできるようになったという。

 また、OpenShift 4.5では、正式リリース版の「OpenShift Virtualization」が利用できるようになった。この製品は、オープンソースプロジェクトの「KubeVirt」をベースにしたもので、Kubernetesが通常扱うコンテナやサーバーレスのオーケストレーション以外に、仮想マシンアプリケーションの開発、デプロイ、管理にも利用できる。

 Red Hatは、OpenShift 4.5のリリースに合わせて、開発者向けに提供しているツールの機能も強化した。強化されたツールには、「CodeReady Workspaces 2.2」、「Buildpacks」および「Kaniko」、「Helm 3.2」、「Odo 2」、「OpenShift Serverless」、「OpenShift Pipelines」の「Tekton」などがある。

 またRed Hatは、Intuitと協力して、「Argo CD」プロジェクトの発展に向けた取り組みを進めることを明らかにした。Argo CDはIntuitが始めたプロジェクトで、現在はオープンソース化され、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)のインキュベーションレベルプロジェクトになっている。Argo CDはKubernetes向け継続的デリバリーツールだ。「Git」を利用してKubernetesやKubernetes上にホストされているアプリケーションの管理を容易に行うことができる。

 Advanced Cluster Management for Kubernetesの一般提供が開始されたことも明らかになった。最新バージョンでは、コンテナ化されたアプリケーションを複数のクラスターを横断してデプロイする上でサポートするツールが提供される。また、単一のビューでKubernetesのクラスターを管理できるようになった。

 Red Hatが今回行った発表は多岐に渡っているが、共通しているのは、Kubernetesを(より具体的にはOpenShiftを)、サーバールームからエッジまでを含むあらゆるクラウドで、より有効に使えるようにすることを目指している点だろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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