経済や社会を大きく変える可能性があると目されてきたシェアリングエコノミー。だが、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、その勢いは大きく減速したようにも見える。そんな折、PwCコンサルティング(以下、PwC)がこの分野における消費者の意識調査を行った。果たして、その結果は――。
コロナショックによるシェアリングエコノミーへの影響は
シェアリングエコノミーとは、個人や企業などが有する資産を提供したい人が、インターネットのマッチングプラットフォームを介して必要としている人に提供する経済活動のことである。資産には、自動車や部屋といった有形資産だけでなく、スキルや時間などの無形資産も含まれている。
例えば、カーシェアリングやシェアオフィス、民泊、さらには家事代行や介護、育児などが、シェアリングエコノミーを形成するシェアリングサービスとして挙げられる。
このシェアリングエコノミーについて、PwCが国内の消費者約1万人を対象に2020年5月中旬、意識調査を行い、このほどその結果を公表した。2017年より毎年実施して今回が4回目となる2020年版では、認知度や利用状況、利用した感想などについて4年間の推移も示しているので、ご興味のある方はご覧いただきたい。なお、本調査におけるシェアリングエコノミーの定義と内容を表1に記しておく。
本調査におけるシェアリングエコノミーの定義と内容(出典:PwCコンサルティング「国内シェアリングエコノミー意識調査2020」)
ここでは2020年版レポートの中から、巻末に「参考」として掲載されている2つの図を取り上げたい。
図1は、コロナショックがシェアリングエコノミーに与えた影響についてカテゴリー別の変化を示したグラフである。PwCはこの図について、「人との直接の接触や人との空間の共有を伴うシェアリングでは利用意向が減少した一方、無形資産やモノのシェアリングでは利用意向が増加している。また、カテゴリーの利用における懸念事項を見ると、他の懸念事項と比較して『衛生面』と答える人の割合が増加していることから、コロナショックの影響を受けて利用意向が変化したものと思われる」との見方を示した。
コロナショックがシェアリングエコノミーに与えた影響についてカテゴリー別の変化を示したグラフ(出典:PwCコンサルティング「国内シェアリングエコノミー意識調査2020」)