米国防総省(DoD)は米国時間8月17日までに、クラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)の契約先を発表することになっているとみられていた。しかし先週、この期限を30日先に延期する、つまり9月16日を新たな期限とするよう要請したようだ。
Nextgov.comの報道によると、DoDは8月10日付けの裁判所提出資料で期限の延期を要請したという。またFedScoop.comは、MicrosoftとAmazonが改定した入札の内容について、DoDが「『懸念を抱いた』部分があるとし、さらに時間がかかるような『入札要請に対する複数の修正や、入札内容の一連の改定、提案側との意見交換が必要になった』」と報じている。なおFedScoop.comによると、要請している延期について、AmazonとMicrosoftの弁護士は反対していないとDoDの弁護士は述べている。
DoDは3月、10年に及ぶ100億ドル(約1兆1000億円)規模のJEDI契約におけるストレージソリューションのコンポーネントの価格など提案内容を一部見直した入札をAmazonとMicrosoftに求めていた。DoDは7月後半時点では、JEDIの契約先を8月末までに発表できると見込んでいた。
Amazonは、DoDが2019年10月にJEDIプロジェクトでMicrosoftと契約したことを不服とし、同省を提訴している。Microsoftが受注した背景にはDonald Trump米大統領らによる「多くの政治的介入」があったとAmazonは主張した。
JEDIの入札プロセスが進む過程で、Amazonが契約を勝ち取るだろうとの見方が大勢だった。プロセスの終盤には、この単一ベンダー独占契約をめぐって争う企業はAmazonとMicrosoftの2社に絞られた。Googleは2018年10月に入札プロセスへの参加を取りやめ、OracleとIBMは2019年4月に要件を満たしていないとして選に漏れていた。
しかし、国防総省は2019年8月にJEDIプロジェクトの契約プロセスを一時中断すると発表した。これに先だって、このプロセスで利害関係が衝突する可能性について、Trump大統領が不満を表明していた。Amazonの最高経営責任者(CEO)Jeff Bezos氏はThe Washington Postを保有していることなどから、Trump大統領は政治的な頭痛の種としてBezos氏に矛先を向けてきた。DoDの監察総監室は4月、JEDIの契約先としてMicrosoftが選定されたことに関して、Trump大統領の言動による影響はなかったと報告している。
JEDIプロジェクトの目的は、レガシーシステムをクラウドサービスによってアップグレードすることだ。当初の提案書では「『JEDI Cloud』は、エンタープライズレベルの商用IaaSおよびPaaSを、国防総省や同省のすべての業務やミッションの運用に関わるミッションパートナーに提供する」と説明されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。