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フローやプロセスを考慮した業務デジタル化の進め方

國谷武史 (編集部)

2020-08-31 06:00

 現在は、業務の生産性や効率性を高めようとITツールの導入や利用への注目がこれまで以上に高まっている。RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やAI-OCR(人工知能技術を活用する光学式文字認識)などが話題になるものの、その効果が業務の一部にとどまるケースは少なくない。そこで考慮すべきは業務のプロセスやフローの視点になるだろう。

NTTデータ イントラマート 執行役員 開発本部本部長の小泉忠嗣氏
NTTデータ イントラマート 執行役員 開発本部本部長の小泉忠嗣氏

 ワークフローやビジネスプロセスマネジメント(BPM)領域のパッケージ製品などを手掛けるNTTデータ イントラマートは、業務システム開発基盤の「Accel Platform」を展開する。執行役員 開発本部本部長の小泉忠嗣氏によれば、同社ではAccel Platformをローコード開発基盤とも位置付け、特に業務プロセスやワークフローを考慮したアプリケーション開発のしやすさを特徴に挙げる。

 ローコード/ノーコード開発は、ITプロフェッショナルではない事業部門の社員、あるいは情報システム担当者などが容易に社内業務システムを開発できる方法として近年注目を集める。従来は経費精算シートなどの帳票類をいわゆる“Excelマクロ”で作成していたが、業務内容やスマートフォンなど業務端末の多様化を背景に、より柔軟性の高いアプリケーション開発が求められ、こうしたツールでは特にバリエーションに富んだユーザーインターフェース(UI)の開発機能を特徴とするものも多い。

 近年に企業や組織で進められている業務のデジタル化は、複雑な業務プロセスやワークフローの一部をITツールに置き換え、手作業の負担を減らしたり、処理時間を短縮したり、属人性を排除して品質を均質化したりすることを目指している。定形業務の一部をRPAで自動的に処理する、紙の書類に手書きされた内容をAI-OCRで読み取りシステム内のフォームに自動で転記するといったケースがおなじみだろう。

 ただ、既に確立された業務プロセスやワークフローの一部をツールに置き換えても、その効果は限定され、そこで踏みとどまってしまう。抜本的に変えるには、業務プロセスやワークフローの全体を棚卸し、ツールを適用する領域を洗い出し、デジタル化による効果を最大化させるよう再構築しなければならない。それには多くの時間と労力を伴うため、遅々として進まないのが現状だ。

 そこで、新しい業務アプリケーションを開発する際に、デジタルによる業務プロセスやワークフローを考慮していくことが近道になる。小泉氏によれば、Accel Platformでは、業務アプリケーションのフロントエンドとバックエンド(サーバー側)のそれぞれに開発し組み上げていける仕組みを提供しているという。

Accel Platformによる業務アプリケーション開発の全体概要
Accel Platformによる業務アプリケーション開発の全体概要

 バックエンド側では、BPMの観点からプロセスを定義してシステムに実装し、プロセスの実行状況を分析、評価しながらさらなる改善点を提案し、プロセスをより最適化していくPDCAサイクルのアプローチを採用する。業務プロセスの設計はマウス操作で作業や処理の内容、フローなどを組み上げながら、フローが変わるロジックやルールを定義していく。ルールについては、スクラッチでユーザー自身が定義できるが、パートナーなどが事前に定義済みの500種以上のルールが“部品”として用意され、それらも活用して開発作業を効率化できる。

 フロンエンド側の業務アプリケーションの画面開発では、フォームによる帳票設計を行う機能に加え、グラフィカルな画面でウェブやモバイルなどの環境にも適した画面を作成する「BloomMaker」という機能も加えている。CSSに対応しており、ウェブ画面としてPCの表示でもモバイルに最適化して表示するレスポンシブ表示も行えるという。

 小泉氏は、コロナ禍に直面してユーザーが業務のデジタル化をより加速させる動きが出始めていると話す。同社でも在宅勤務時の勤怠報告を行うためのアプリケーションをBloomMakerとLogicDesginerですぐに作成、利用している。また、アドビとAdobe Sign SI/連携ソリューションパートナー契約を締結して、電子サインサービス「Adobe Sign」と連携する業務アプリケーションの開発に対応したほか、PFUとはコンサルティングパートナー契約を結び、PFUのスキャナーやドキュメントソリューションと連携してペーパーレス化と業務プロセス全体のデジタル化を図る環境整備を進める。

コロナ禍に対応したテレワーク勤怠報告アプリの開発例。デジタルを前提とする新しい業務プロセスで迅速な開発が行える
コロナ禍に対応したテレワーク勤怠報告アプリの開発例。デジタルを前提とする新しい業務プロセスで迅速な開発が行える

 こうした業務プロセスをデジタル化している事例として、ある自動車部品メーカーでは中国の生産拠点でBPMとRPAを組み合わせ支払いなどのプロセスを自動化している。中国では、支払いに伴う税務処理などのクラウドサービスが整備されており、支払い処理に関するデータをクラウドから自動的に取得し、RPAが自動で内容を確認する。担当者による目視の確認も併用して、問題のない支払いデータはERP(統合基幹業務システム)へ自動で登録と消込処理が実行される。支払い業務における手作業でのミスを減らし、処理の高速化を実現しているという。

 業務のデジタル化は、自社で確立されているプロセスやフローの複雑さや硬直さもさることながら、取引先との関係性や業界、国などのルールや慣習も大きく影響するため、一長一短には進みづらいだろう。ただ、業務をデジタル化していく手段や環境は今後も間違いなく整っていくため、個別最適にとどまることなくプロセスやフローの全体で捉えて最適化していく視点を持つことが大事だろう。

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