ミスミグループ本社は製造業が抱える課題として、一般的なバリューチェーンである“設計→調達→製造→販売”というプロセスを見ると、「バリューチェーンの他はデジタル化しているものの、『調達』は紙を媒介にしている。この領域が製造業の生産性向上のボトルネックだ」(吉田氏)と指摘する。
同社の試算によれば部品点数約1500点の機器を調達する場合、作図に750時間を要し、ファクスを用いる見積もりの手間は250時間、その後の返答や納期に168時間が必要と換算。全体で約1000時間(125日)を消費しているという。
※クリックすると拡大画像が見られます
※クリックすると拡大画像が見られます
国内で約38万社あるといわれる製造業に当てはめると年間で3.8億時間を消費し、年間2兆円以上の間接コストが調達プロセスで浪費することになる。
meviyを導入する利点として、吉田氏は「顧客は3D CADで実施した設計データをmeviyにアップロードすることで、形状や必要な加工をAIが判断する『AI自動見積もり』と、設計データから工場の工作機械で実行するプログラムを自動生成し、ダイレクトに転送する。熟練工のプログラム入力工程を不要にした『デジタルものづくり』の2点が大きな特徴」だと語る。実際に導入企業も増え、2020年第1四半期時点でユーザー数は4万5000を突破し、対前年度比3倍に成長した。
※クリックすると拡大画像が見られます
今後の展開としてミスミグループ本社は、(1)3Dプリンターに代表される加工種類の拡大やmeviyの機能を継続的に進化させる「サービス進化」、(2)Protolabsのようにサービス強化や利便性向上につなげるため、世界の有力サプライヤーとの連携強化する「アライアンス強化」、(3)2020年から始めた海外展開を指す「グローバル化」――の3つを目標に掲げた。具体的な展開先として吉田氏は「可能性を踏まえると当面は中国だが、欧米を手始めに考えている」と説明する。