伊藤忠商事、紙の帳票基盤と電子帳票基盤を刷新

NO BUDGET

2020-08-27 10:58

 伊藤忠商事は、基幹システムの刷新プロジェクトの「帳票基盤の再構築」に当たり、ウイングアーク1stのソリューションを導入した。

 導入製品は、文書データ活用ソリューション「SPA」、帳票印刷管理ソリューション「RDE SUITE(RDE)」、そしてそれらを統合管理する「SPA Integration Service(SPA IS)」。SPAが稼働する電子帳票システムは、主に請求書PDFや為替予約帳票、残高確認帳票の閲覧に活用されている。経理部署や営業部署を含め既に約2300人のユーザーが利用しており、2020年度中に会計帳票など100種類以上の帳票が新帳票基盤に移行する予定だ。

 2015年に始動したこのプロジェクトは、2018年5月に基幹システムの「SAP S/4HANA」化を完了。全社統合データ基盤をリリースし、2020年度末までにこれらを活用する形で経理・財務・与信など複数の業務領域についても、個別システムの再構築または業務要件を取り込んだ大規模改修を進めている。

 その一環として2019年から取り組んでいるのが「帳票基盤の再構築」だったが、これまで利用してきた紙帳票システムと電子帳票システムが老朽化し、請求書などの紙帳票の控えを電子データで保存するには電子帳票システム用に別途帳票を作る必要があるなど、柔軟なシステム対応ができなかった。また、紙帳票と電子帳票の基盤が別々に運用されているため、業務の効率化を阻害していた。

 今回の導入のポイントは、インテグレーションサービスであるSPA ISにより、アドオン開発を最小限に抑え、保守の属人化・ブラックボックス化の回避できることや紙帳票と電子帳票の帳票基盤を統合できることが挙げられている。また長期間の運用に耐えられるシンプルで拡張性を持った帳票基盤が構築できたことも大きなポイントとなったという。

 導入効果としては、同社はこれまで請求書や残高確認帳票、基幹システムや部門システムと連携した帳票など、主に外部送付を目的とした帳票を年間約150万枚印刷していたが、RDE導入後の紙の帳票システムでは、残高確認に関わる帳票を電子化(PDF、CSV)したことで、残高確認業務を大幅に効率化できた。特に海外現地法人向けの残高確認に関しては膨大な量の紙を印刷していたが、年間約20万枚から13万枚程度に削減できると見込んでいる。

 またセンター印刷を廃止し、各部門でユーザー自身が必要なときに印刷を行うオンデマンド印刷への転換を目指している。以前はプレプリント用紙を使用していた請求書の印刷を普通用紙に変更したことで、用紙管理が不要になり効率的かつ柔軟な印刷運用が可能になった。さらにこれまでは紙の請求書をわざわざスキャンして顧客に事前送付していたケースもあったが、紙の請求書とともにPDFデータとしても出力されるため、作業負荷が軽減できたという。

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