データガバナンス取り組みのポイント
データガバナンスの取り組みは、それぞれの企業にあった推進が求められるため、一朝一夕にはいかないことが多い。そこで、データガバナンスを成功に導くための代表的な推進ポイントを課題ごとに紹介する。
ケース1:広大な領域への対応をどのようにしたらよいかわからない
データガバナンスが欠如し、コントロールできていない企業は、個別最適を積み重ねたシステム、業務となっており、データマネジメント活動が上手くいっていない状況が見受けられる。
この場合、まずは、組織の成熟度を向上させた上で、領域を拡大することが良いと考える。
- 自社の成熟度を正しく評価し、現状を理解する。その中で現状課題を洗い出す。
- データマネジメント推進に関する構想をしっかり策定する。また、構想が誤っていれば見直す。
- まずはスモールスタートで進める。
- 短中期の成功を繰り返し、組織の成熟度を向上させていき、徐々に組織や対象データ、対象システムなど範囲を広げていく。
ケース2:業務部門の協力が得られない
データガバナンスを推進する際、必ずある悩みである。デジタル化やデータ活用の重要性は理解していても、データの管理の重要性を理解していないことが多い。
トップによる強制的な指示は有効であるが、反発があると全社的なデータドリブンにつながらない。データ民主化に関する施策の優先的な実施が良いだろう。簡単な例だと、データを活用できるビジネスインテリジェンス(BI)ツールやレポートの提供、データを可視化しデータ利用の効果を理解してもらうためのデータカタログ、データディクショナリーの整備などである。
ケース3:データガバナンスを推進できる人材がいない
スタート時では知見のある人材がいないことが多い。混成チームでの推進、段階的な人材強化が正解だろう。
初期メンバーとしては、以下の人材が挙げられる。
- 業務側でデータ生成、管理の責任者
- データ要件を定義する業務要件担当
- データ基盤構築担当などのシステム責任者
- データを実際に活用する意思決定者
また、並行して、データカタログ、データ品質管理、ワークフローなどのデータマネジメントに関するツールを整備しながら、データガバナンス推進に関するハードルを下げていくことが、育成と強化の近道になると考える。
今回紹介したポイントはあくまで一例だが、データガバナンス実施の参考になるはずだ。
- 小林 靖典(こばやし やすのり)
- クニエ データマネジメント/データガバナンス担当
- マネージャー
- ITコンサルタントとして、システム企画、提案依頼書策定、要件定義分野から、データマネジメント/データガバナンス(データアーキテクチャ、MDM、データHUB、DL/DWH/BI、メタデータ管理、データ品質管理、データガバナンス組織構築、制度策定など)の分野で多数の実績を有する。 クニエでは、データマネジメント、データガバナンス分野の専門家として、データ戦略策定、データマネジメント構想策定、データプラットフォーム実現のためのデータマネジメント全般支援、データガバナンス組織構築支援、データマネジメント教育などに携わる。