ドローン業界は、シェアのほとんどを数社(DJIやAmazonを思い浮かべてもらいたい)が占有している状況にある。これらの企業が業界の針路を左右している結果、単一企業が圧倒的な市場シェアを握る巨人と戦っていくことは、規模の拡大が容易ではない点と、実質的に「車輪の再発明」が必要だという点を考え合わせるとほぼ不可能だといえる。
しかしこうした状況は変わりつつある。1990年代初頭に法人向けコンピューティング分野で起こったオープンソース革命によってRed Hatをはじめとする企業が台頭したことを覚えている米ZDNetの読者にとって、これは既視感があるかもしれない。現在のドローン市場の情勢に目を向けると、企業のエコシステムが政府による支援の下、オープンソースの活用によって力を合わせて戦っていこうとしていることが分かる。航空宇宙企業やドローン企業1社の力では成し遂げられないものの、協力することで、ドローンの開発や競争における新たな展開の兆候がそこかしこに現れつつある。
こうした変革の推進と、取りまとめを支援している企業の1社がAuterionだ。同社が手がけている商用ドローンソフトウェアプラットフォーム「PX4」はオープンソースソフトウェアをベースにしており、The Linux Foundationの「Dronecode」プロジェクトで採用されている。筆者は同社の共同創業者であるKevin Sartori氏と話す機会を得て、現在起ころうとしている変革や、PC業界との類似点、ソフトウェア業界における覇権主義の終えんという観点から見たオープンソースの力などについて語ってもらった。
——開発エコシステム、およびOS市場におけるプロプライエタリーVS.オープンソースの位置付けの変化という観点から、ドローン業界とPC業界の比較を掘り下げられるように説明してください。これは適切な比較でしょうか?
現在のところ、世界のドローン業界は断片化されていますが、新たな業界の多くが経験するように、ライフサイクルの上では明らかに統合段階にあります。ドローン業界で現在起こっていることは、1990年代の初頭に個人向けおよび法人向けコンピューティング分野で起こったことと大差ありません。Red Hatが1993年に設立にされた頃、法人ユーザーや政府機関ユーザーが利用できる標準化されたプロプライエタリーなサーバーOSが少数ありました。Red Hatはオープンソーステクノロジーを用いた法人向けソフトウェア開発の先駆者であり、それからほどなくしてSun Microsystemsの「Solaris」といったプロプライエタリーなOSを駆逐しました。顧客は、オープンソースモデルのおかげでプロプライエタリーシステムの数分の1のコストでアプリケーションを自らのユースケースに合わせてカスタマイズできるようになりました。昨今のドローンはソフトウェア定義化が進んでおり、空飛ぶサーバーと言ってもよいほどになっています。Auterionは、オープンソースソフトウェアをベースとする法人向けのドローンOSを提供することでRed Hatのモデルを踏襲しています。またAuterionは、法人や政府機関の顧客がプロプライエタリーなソフトウェアをベースとするドローンソリューションからオープンソースモデルのソリューションへと舵を切っているのを目にしています。