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第14回:セキュリティの転換期--IT担当者が目指すべき姿

取材・構成=翁長潤

2020-09-08 06:00

 本連載は、元ソニーの最高情報責任者(CIO)で現在はガートナー ジャパンのエグゼクティブ プログラム グループ バイスプレジデント エグゼクティブパートナーを務める長谷島眞時氏が、ガートナーに在籍するアナリストとの対談を通じて日本企業のITの現状と将来への展望を解き明かしていく。

 今回のテーマは「セキュリティ」だ。テクノロジーの進化は企業に大きな変革をもたらすとともに、新たな脅威を生み出している。これが企業経営にも影響を及ぼす時代となった。近年はクラウド/モバイルの利用拡大やデジタル化の普及によりITインフラ環境が大きく変化し、情報資産の保護の在り方も根本的に見直すべき時が来ている。特に、2020年前半は多くの企業がテレワークを急ぎ採用し、そのセキュリティ対策に頭を悩ませたIT部門やセキュリティ担当チームは多いだろう。“ウィズコロナ”時代にセキュリティ担当者はどう向き合えばいいのか――新しい働き方に合わせたセキュリティ対策の指針について、矢野薫氏に提言してもらった。

“奥深き”セキュリティの世界に魅了された

長谷島:ガートナーのアナリストになろうと思ったきっかけを教えてください。

矢野:10年以上セキュリティ分野に携わっています。偶然に入ったセキュリティの世界の奥深さにまず驚きました。掘れば掘るほどに面白いことが分かり、「やめられない!」という状態になりました。セキュリティのベンダーに在籍していた頃はテクノロジーの観点でセキュリティを扱い、コンサルティングファームでは戦略の策定やアーキテクチャー設計を行っていました。ガートナーに入社するきっかけは、アナリストの仕事は、ベンダーやコンサルタントとも違う形でセキュリティに向き合えるものだと知ったからです。

矢野薫氏
ガートナー ジャパン リサーチ&アドバイザリ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ セキュリティ担当シニア プリンシパル アナリスト
入社以前は、外資系セキュリティベンダーにおいてデータ保護、認証、セキュリティモニタリング、リスク管理ソリューションなどを担当。その後、外資系コンサルティングファームにおいて、国内主要企業に対するセキュリティ戦略策定プロジェクトやセキュリティアーキテクチャのグランドデザイン策定のプロジェクトなどに数多く従事。セキュリティについての幅広い知見を基に、今後のセキュリティの在り方について戦略、テクノロジー、運用などさまざまな切り口で提言している。

“情報”や“サイバー”、セキュリティは過渡期

長谷島:非常に興味深いですね。企業のITマネジメントの中で、情報セキュリティが非常に重要な領域として取り上げられてきた歴史は何年くらいでしょうか。

矢野:1990年代後半頃からが「企業セキュリティの黎明期」だと考えられます。ここまで身近になったのは20年くらいですね。

長谷島:この20年ほどでITは加速度的に進化し、その適用範囲や方法も劇的に変化していると思います。その中で、特に昨今の情報セキュリティではどんな領域がホットですか。

矢野:そもそも、セキュリティの黎明期に、私たちセキュリティに携わる人はセキュリティを「情報セキュリティ」と呼んでいました。それは紙媒体の情報がデータ化され、それを守るところから派生しています。2000~2010年くらいまでは「情報セキュリティ=セキュリティ」でした。

 その潮目が変わったのが、2011年頃です。新しく「サイバーセキュリティ」という言葉が出てきました。日本でも大きなセキュリティインシデントがたくさん起き、新聞各紙が一面で一番大きなフォントで「サイバー」という文字を載せたのもその時期ですね。

長谷島:当時の状況は今でもよく覚えています。

矢野:「社内にあるものが、外部からの攻撃にさらされる」ことが突然出てきたのが、この時期に潮目が変わった要因です。そしてこのような、既存の防御をすり抜けてくる外部からの脅威のことを“サイバー攻撃”と呼び始めました。

 そこから「サイバーセキュリティ」という新しい領域が語られるようになりました。例えば、マルウェア対策などの領域が出てきたのも2011年頃です。それ以降、情報セキュリティ対策に、新たにサイバーセキュリティ対策が加わることになったのです。

 そして現在、わたしたちは“情報セキュリティでもなくサイバーセキュリティでもない”企業全体のセキュリティの本当の在り方に立ち戻らなければいけない時期にいると思います。もう一度基本に戻り、デジタル化とともに進めるべき新しいセキュリティを考える過渡期にいるのだと言えます。

長谷島眞時氏
ガートナー ジャパン エグゼクティブ プログラム グループ バイスプレジデント エグゼクティブパートナー
1976年ソニー入社。Sony Electronicsで約10年にわたり米国や英国の事業を担当し、2008年6月ソニー 業務執行役員シニアバイスプレジデントに就任し、同社のIT戦略を指揮した。2012年2月の退任後、2012年3月より現職。この連載では元ユーザー企業のCIOで現在は企業のCIOに対してアドバイスしている立場としてITアナリストに鋭く切り込む。

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