Salesforceは米国時間9月1日、フィールドサービス技術者などの派遣、管理プラットフォーム「Salesforce Field Service」の一連のアップデートを発表した。Field Serviceは同社の製品で最も著しい成長を遂げているものの1つだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが発生して以来、需要の大きな変動に直面している。現在、企業は未対応のサービスのニーズに対応しようとしているため、今回のアップデートはなおさら訴求力の高いものとなる。
SalesforceのField Serviceプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントEric Jacobson氏は米ZDNetに対し、「われわれ皆が在宅勤務をしていても、実際に外の世界ではやはり業務が発生するのが現実だ」と述べた。「対応しなければならない業務が残っている。病院には稼働していなければならない機器があり、アパートのビルにはメンテナンスの必要があるエレベーターがある。自宅で洗濯機が壊れたら、誰かに取り替えに来てもらわなければいけない。そして安全にやりたいと思うだろう。したがって、われわれにとって新たな機会が生まれている」
新機能には以下が含まれている。
- 「Dynamic Priority」:インテリジェントな予約スケジュール機能や、スケジュールの最適化機能
- 「Einstein Recommendation Builder」:人工知能(AI)を活用した、技術者が適切な部品や機材を確実に携行できるようにするレコメンデーションなど、サービスを強化する機械学習モデルを迅速に導入できるようにする機能
- 「Asset 360」:資産の稼働状況を把握し、メンテナンスが必要なものなどを特定しやすくするための洞察を提供する資産管理機能
- 「Appointment Assistant」:いつ技術者が到着するのかを顧客がより正確に把握できるようにするための新たなツール群
Jacobson氏によると、これら新機能のうちの最初の2つは、「適切なリソースを適切なタイミングで適切な仕事に割り当てる」というものだという。これは詰まるところ、技術者が1回の訪問で作業を完了するために役立つと同氏は述べた。パンデミックの最中に一層重要になっていることだ。
Dynamic Priorityのユースケースは次のようなものだ。例えば、エレベーターの検査作業でフィールドサービス技術者を派遣する場合、その予定を数カ月前に設定しておくことになる。こういった作業の優先順位は初めのうちはさほど高くないものの、検査の日程が近づくにつれて重要性が増していくはずだ。Dynamic Priorityは、この種の緊急性を加味することで技術者のスケジュールを最適化する。この機能は10月に一般提供が開始される。
Einstein Recommendation Builderは、SalesforceのAIプラットフォーム「Einstein」を活用し、過去の作業指示を分析する。同機能はその情報を用いて、必要となりそうな部品や機材を推奨するようになっている。Einstein Recommendation Builderは、10月にベータとなる。
Asset 360による資産の稼働状況の洞察を可能にする上で、Salesforceは長年にわたって提携関係にあるServiceMaxと協業した。この機能は、設置済みの資産や、サービス契約、資産の稼働状況を可視化することで一連の資産管理機能を提供する。Asset 360は11月に一般提供が開始される。
Appointment Assistantを使用することで顧客は、いつ技術者が到着するのかをリアルタイムでの状況アップデートとGPSの情報から追跡できるようになる。URLをクリックするだけで、Uberのドライバーの追跡と同じようなやり方で技術者を追跡できる。Appointment Assistantは10月に米国でクローズドパイロット試験が実施される。
新しいField Service Appointment Assistant
Field Serviceの需要は再び高まっている。Field Serviceは、米国では新型コロナウイルスの感染が拡大し、訪問サービスが事実上ストップしていた際に利用が落ち込んだとSalesforceは述べた。対応が必要なサービスの要件が残されている状況となった。SalesforceのField Serviceは、2020年4~7月に50%を超える伸びを記録した。現在コロナ前の水準より利用が20%増加しているという。
Jacobson氏は、「顧客はますます、ラストマイルのサービスを提供する機会が差別化要因になると認識するようになっている」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。