海外コメンタリー

不透明感強まる2021年のIT予算編成、考慮するべき7つの視点

Mary Shacklett (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2020-09-09 06:30

 景気悪化の兆候は見えているものの、2021年のIT予算は2020年と同じ水準になりそうだ。これは、競争力を維持するためにはテクノロジー支出が必要だと企業が認識しているためだ。

 2021年のIT支出では、セキュリティとクラウドサービスへの支出が多かった2020年に比べ、さまざまなカテゴリー(デジタル化、モバイルコンピューティング、従業員トレーニングなど)に支出先が分散するとみられている。セキュリティとクラウドサービスに対する投資額は依然として大きいものの、企業は変曲点に達しており、これらの分野における当初の目標の多くは、すでに達成されたと考えられている。

 技術に関する意思決定へのエンドユーザーの関与は、今後も弱まることはないだろう。その一方で、IT支出の全体像を十分に把握したいと考える企業が増えていることを示す兆候がある。予算編成の観点から言えば、そのことが、IT支出(とIT資産)をIT部門の管理下に一本化していくという動きになって表れている。

 また2021年には、最高財務責任者(CFO)をはじめとするIT予算の意思決定権者が、新技術に投資する前に、試験導入や概念実証を成功させ、事前により多くの情報を得るよう求めてくるようになるだろう。これは、従来の投資で得られた投資収益率(ROI)のパフォーマンスが必ずしもよい結果ばかりではなかったことや、クラウドサービスで頻繁にコスト超過が起こっていることに対する反応だ。

 以下では、2021年のIT予算を編成するにあたって考慮に入れておくべき、7項目の予想を紹介する。

1.IT部門の主導権が強まる

 シャドーITは当面なくならないだろうが、さまざまなIT資産の責任の所在を明らかにしたがっている企業が増えている。その結果、多くの企業がIT資産管理システムに投資しており、そのシステムの運用維持を最終的にIT部門に任せようとしている。この流れが、IT部門以外の部門が導入しようとしている技術についても、IT部門の予算に一元化しようという動きにつながっているケースもある。IT経費を一元化すれば、組織がどれだけのIT技術を抱えており、毎年どれだけの費用が発生しているかを把握することにもつながる。

2.プロバイダーの価格体系について説明を求められる状況に備える

 多くの組織が、クラウドサービスのコスト超過を経験している。その主な理由は、クラウドプロバイダーの価格体系が複雑であることと、企業にそれを理解する能力が不足していることだ。クラウドサービスの予算を組むのであれば、どのベンダーに関しても、あなたが価格体系を理解できるだけでなく、それをCFOやその他の上層部にも説明できることが求められるだろう。

3.予算提出前に利害関係者と連携する

 企業はITに関する支出と資産の把握を一本化したいと考えているが、シャドーITやテクノロジーの調達に関する意思決定へのエンドユーザーの関与が減っているわけではない。変わったのは、ユーザー(や経営陣)が、IT部門にテクノロジー調達に関する意思決定プロセスの準備段階に積極的に関与してほしいと思っている点だろう。これは、調達するテクノロジーを既存のシステムと連携させて使えるようにしたいからだ。望ましいアプローチは、IT部門が予算編成の前にさまざまなユーザー部門を訪問し、各部門が自分たちの業務のためにどんな技術を導入しようとしているかを調べて、主導権を握ることだろう。

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