Gartnerは、2024年には、サイバーフィジカルシステム(CPS)をサイバーインシデントから守れなかった責任は、最高経営責任者(CEO)個人に降りかかることになると予想している。
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同社によれば、CPSのインシデントが発生した場合、法人格否認の法理が適用され、CEOの75%が個人的に責任を問われることになるという。
GartnerのリサーチバイスプレジデントKatell Thielemann氏は、「規制当局や政府は、CPSのセキュリティを確保できずに発生する深刻なインシデントの増加に素早く反応し、こうしたケースに適用されるルールや規制を大幅に増やしていくとみられる」と述べている。
「米国では、米連邦捜査局(FBI)、米国家安全保障局(NSA)、サイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)が、重要インフラ関連システムの脅威について頻繁に情報を提供するようになっており、その内容も詳しくなっている。そうしたインフラの多くは民間産業が所有している」と同氏は言う。
Thielemann氏は、CEOはもはや、「知らなかった」と主張したり、保険契約の陰に隠れたりすることはできなくなると考えている。
Gartnerによれば、被害に遭う人命の価値を考慮から外しても、損害賠償、訴訟費用、保険費用、規制に基づく罰金、評判の低下などで発生するコストは莫大なものになるという。
同社は、2023年には、CPSに対する攻撃で死傷者が出たケースの最終的な被害額が500億ドルを超えると予想している。
Gartnerは、CPSを、センシング、コンピューティング、制御、ネットワーキング、アナリティクスを統合して、人間を含む物理的な世界と相互作用させるように設計されたシステムと定義している。
この定義から言えば、CPSはコネクテッドIT、運用技術(OT)、IoT(モノのインターネット)などの取り組み全般を支えるものであり、CPSのセキュリティに関する検討事項は、資産集約型の重要インフラや臨床医療環境などの例を考えれば分かるとおり、サイバー環境と物理環境の両方に及ぶ。
Thielemann氏は、「IT担当役員は、CPSがもたらすリスクと、CPSの安全性確保に積極的に取り組み、予算を投入する必要があることをCEOに理解させる必要がある」と述べている。「接続されているCPSが多いほど、インシデントが発生する可能性も高まる」
同氏によれば、運用技術(OT)やスマートビルディング、スマートシティ、コネクテッドカー、自動運転車などの技術が進歩したことで、リスクや脅威、脆弱性は、サイバー環境と物理環境の両方で双方向に影響を及ぼすようになったという。
同氏は、「しかし多くの企業は、IT部門以外のチームがレガシーシステムをエンタープライズネットワークに接続していたり、事業部門が自動化やモダナイゼーションの取り組みを新たに進めていたりすることで、CPSがすでに組織内に導入されていることに気づいていない」と付け加えている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。