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量子インターネットとは、その可能性--今知っておきたいこと - (page 3)

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-09-11 06:30

 従来の通信ではほとんどの場合、送信側と受信側に共通の暗号鍵を配布しておき、その共通の鍵を用いてメッセージを暗号化し、データの保全性を確保するという形態を採っている。そしてメッセージを受け取った側は、その共通の鍵を用いてメッセージを復号することになる。

 今日の古典的通信手法におけるセキュリティは、ハッカーが解読しにくい暗号鍵を作り出すアルゴリズムを基礎にしているものの、こういった暗号鍵の解読は不可能というわけではない。このため、研究者らは「量子力学」に基づく通信プロセスを生み出そうとしているのだ。「量子鍵配送」(QKD)という新たなサイバーセキュリティ技術は、この考え方に基づいている。

 QKDは2点間の通信において、一方が光子や電子などの素粒子上にキュービットとして暗号鍵をエンコードすることにより、古典的なデータを暗号化する。送信側はその後、鍵がエンコードされた素粒子を受信側に送信し、受信側は該当素粒子の状態を観測して鍵の値を取り出すことになる。

 素粒子の観測によって、保持されている状態を読み取ることはできるが、その観測により素粒子上に保持されているキュービットは破壊されてしまうという点が重要だ。ある意味において、このキュービットは鍵の値を運搬するという目的でのみ存在しているものだといえる。

 さらに重要なのは、第三者が通信経路の途中で素粒子の状態を観測するだけで鍵の破壊が引き起こされるため、盗聴されているかどうかを容易に判断できるという点だ。

 ハッカーが通信経路上にある素粒子の状態を観測し、キュービットを取り出そうとすると、その状態が自動的に変化してしまう。このため、スパイは盗聴の証拠を消し去ることができない。暗号研究家らがQKDのセキュリティの高さを「立証できる」と主張しているのは、こういった理由からだ。

では、量子インターネットとは何なのだろうか?

 QKD技術はまだ初期段階にある。今のところ、QKDを実現するための「ストレート」な方法は、光ファイバーケーブルを用いて、受信者にキュービットを送付するというものだ。しかし、このプロトコルの効率は著しく制限されている。

 キュービットは光ファイバーケーブル内の散乱、減衰で容易に消失してしまうため、量子信号はとてもエラーが発生しやすく、遠方への伝送が難しいのだ。現在の実験でも実際のところ、伝送範囲は数百kmに制限されている。

 さらに、量子インターネットの礎を築くもう1つのソリューションがある。これは量子力学の世界で「量子もつれ」と呼ばれる状態を活用することで、2つの離れた機器の間での無経路通信を可能にするものだ。

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