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量子インターネットとは、その可能性--今知っておきたいこと - (page 4)

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-09-11 06:30

 2つの素粒子がエンタングル状態と呼ばれる相関関係を有している場合、互いに依存しあう特定の性質を共有することになる。このようなエンタングル状態にある素粒子の片方の状態を変更すると、もう一方の素粒子はそれが物理的に離れた位置にあったとしても、状態の変化が引き起こされるのだ。

 つまり、エンタングル状態にある一方の素粒子(受信側)の状態を観測するだけで、もう一方の素粒子(送信側)の状態を「読み取る」ことが可能になるわけだ。アルバート・アインシュタインですら、この現象を「不気味な遠隔作用」と称している。

 これを量子通信というコンテキストで見た場合、量子もつれを利用すれば、物理的な経路が存在していない場合であっても、エンタングル状態にある一方の素粒子から、もう片方の素粒子に向けて実質的にキュービット情報の量子テレポーテーションを実現することで、2点間の通信が可能になる。

量子もつれをどのように利用するか?

 量子テレポーテーションという考え方は、その定義により、通信機器間をつなぐ物理的なネットワークが不要だということになる。ただし、最初にこの種のエンタングル状態を作り出し、維持しておく必要がある。

 量子もつれを利用したQKDを実現するには、エンタングル状態にある素粒子のペアを作り出した後、送信地点と受信地点に分配するための適切なインフラを構築しなければならない。これによって、暗号鍵を交換できるようにするための「量子テレポーテーション」チャネルが生み出される。

 具体的には、いったんエンタングル状態にある素粒子のペアを生成した後、片方を鍵の受信者の元に送り届ける必要がある。ただ、エンタングル状態にあるキュービットは、例えば光ファイバーネットワークを用いた場合、60マイル(約97km)程度までしか届かない。

 人工衛星を利用すれば、さらに長い距離でもエンタングル状態を維持したままキュービットのやり取りが可能になるが、地球全体を網羅するような宇宙規模の量子デバイスは高価なものとなる。

 従って、世界の隅々にまで効率的にキュービットを配送する大規模「量子テレポーテーションネットワーク」の構築には、依然としてエンジニアリング上のさまざまな課題が存在している。しかし、いったん量子もつれネットワークを構築できれば、魔法のような世界が生み出される。エンタングル状態にある素粒子のペアを使えば、物理的なインフラにデータを流すことなくメッセージをやり取りできるようになるのだ。

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