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量子インターネットとは、その可能性--今知っておきたいこと - (page 5)

Daphne Leprince-Ringuet (ZDNet UK) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2020-09-11 06:30

 これにより、通信時の量子鍵が第三者の目に触れることは事実上なくなる上、間に割って入ることもできなくなるため、エンドポイント間で信頼性の高い「テレポーテーション」が実現できる。このアイデアは、銀行やヘルスケアサービス、航空通信といった、機密データを取り扱う業界から注目されるだろう。そして、極秘情報を抱えている政府機関もこの技術のアーリーアダプターとなるだろう。

この他に量子インターネットでできること

 「量子もつれを利用する必要などあるのだろうか?」と思っているかもしれない。要するに、「通常」形式のQKDに磨きをかける方法を模索するだけでよいのではないかというわけだ。例えば量子リピーターを使えば、エンタングル状態にある素粒子を扱わずとも、光ファイバーケーブルを介した場合でもキュービットを破壊せずに伝送できる距離を実質的に伸ばせるはずだ。

 しかしそれは、量子もつれによって実現されるアプリケーションが開く膨大な可能性に目を向けていない考えだ。QKDは、量子インターネットがもたらす成果の一例として最も多く引き合いに出されている。その理由は、QKDが量子テクノロジーの応用例として最も実現しやすいものであるとの見方があるためだ。とはいえ、研究者らはセキュリティ分野での応用だけで色めき立っているわけではない。

 QKD向けに使用される量子もつれネットワークは例えば、離れた場所に設置された量子デバイス内に維持されているエンタングル状態にある素粒子群を使った量子クラスターを構築するための信頼性ある手段ともなり得る。

 このような量子インターネットに接続する上で、研究者らはさほどパワフルな量子ハードウェアを必要としなくても済む。実際のところ、単一キュービットのプロセッサーでも十分に目的を果たせる。単体では非力で能力的に制約のある量子デバイスであっても、数多く接続すれば、膨大な力を発揮する量子スーパーコンピューターになると科学者らは考えている。

 小さな量子デバイスを数多く接続することで実現される量子インターネットを用いれば、単一の量子コンピューターでは現在不可能とされている問題でも解決できるようになる可能性がある。こういった問題には、膨大な量のデータ交換のほか、天文学や新素材の発見、生命科学における大規模なセンシング実験といったものが含まれている。

 このような理由から科学者らは、GoogleやIBMといった企業による量子超越性の達成(量子コンピューターによって、従来のコンピューターでは達成できない問題が解決できると実証すること)を待たずとも、量子インターネットがわれわれにさまざまな利点をもたらすと確信している。

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