Salesforceを活用しているユーザー企業が自社の事例をプレゼンし、日本一を決める「SFUG(Salesforce User Group) CUP」。2011年から毎年開催され、今年で第8回目を迎えた。今回は、8月25日にオンラインで開催された。今週から数回にわたり、決勝に勝ち残った企業の中から、5社の事例をピックアップして紹介する。今回は、総合順位3位のクリエイトワン。
売り上げはノートに手書きの世界
愛知県名古屋市に本社を構えるクリエイトワンは、ヘアエクステ(付け毛)の製造、販売とヘアサロン(美容院)向けコンサルティングを手掛けている。創業は2004年8月で従業員数は11人。2020年6月にはコロナ禍にもかかわらず、過去最高の売り上げを達成したという。
クリエイトワンの事業内容。中国にヘアエクステの製造工場も所有している(出典:クリエイトワン)
クリエイトワン 営業部部長 金子侑樹氏(出典:セールスフォース)
同社は現在、Salesforceで収集したヘアサロンのデータをもとに、ヘアサロンに対してコンサルティングを行っている。クリエイトワン 営業部部長を務める金子侑樹氏は「おしゃれで華やかに見られるヘアサロン業界だが、その実態はアナログ中心の世界だ。予約表やお客様のカルテはもちろん、会計もノートに手書きをしているケースが多い」と説明する。
現在、日本国内には15万店のヘアサロンがある。この数字はコンビニエンスストア数の5倍以上だ。当然競争は激しい。最近では1000円でカットするチェーン店や、自宅でヘアカラー(毛染め)をする人も増加した。こうした状況が、業界の競争に拍車をかけているという。
金子氏は「Salesforce導入前は、クリエイトワンもヘアサロンもそれぞれに課題を抱えていた」と説明する。
クリエイトワン側の課題は、アナログな情報管理だ。売り上げは電卓とホワイトボードを駆使して計算。毎週3時間以上かけて集計していた。当時はスプレッドシートで管理をしていたため、データの検索や整理といった作業に時間を取られていた。
また、顧客情報はスプレッドシートをはじめ、Evernoteなどのアプリケーションでも保存していたため、情報の重複が発生していたという。金子氏は「情報管理が徹底できていなかった結果、エクステの需要予測も正確に分析していなかった。在庫管理や発注も感覚で行っていた」と当時を振り返る。
一方、ヘアサロン側の課題は、経営意識が低いことだった。個人経営のヘアサロンの店長は、ヘアカットの職人としては優秀だが、経営者としては“どんぶり勘定”な部分が多く、日々の売り上げに対する意識が薄かった。売上目標や競合ヘアサロンの動向も気にしない店が大半だったという。