日本IBMが自社イベントで、DX(デジタルトランスフォーメーション)のための“共創”サービス「IBMガレージ」について紹介した。「DXのための共創」を掲げるサービスとはどんなものか。そして同社がこのサービスに込めた思惑とは。
DXのための共創サービス「IBMガレージ」の中身とは
日本IBMがIBMガレージを紹介したのは、同社が9月3〜4日にオンライン形式で開催した自社イベント「Think Summit Japan」のセッションである。サービスの内容と最新動向、導入事例について説明が行われた。
同社が2018年1月に提供を開始したIBMガレージは、企業がDXを実現するために必要な要素であるコンセプト、方法、ツールなどをIBM独自のメソドロジーとして整備し、技術、ノウハウ、人材、検証スペース、ソフトウェア、ハードウェアを包括的に提供するサービスである。
このサービスを活用すれば、DX実現の土台となるカルチャーの醸成、ビジョンやアイデアの創出、ビジョンやアイデアを形にするプロトタイプの構築、AI(人工知能)やアナリティクスといった最先端技術の適用に向けた実証などを行うことができる。
そして先頃、このサービスにおいて、新型コロナウイルス感染防止策として、新たにリモート環境でもDXを推進できるように内容を拡充。ツールとしてクラウド型のホワイトボードやミーティング、チャットなどを活用できるようにするとともに、作業におけるルーチンを明確化したり、タスクの可視化を行うことで、リモート環境でも効果的かつ効率的に取り組めるようにした。
このIBMガレージについて、同イベントではクラウド戦略をテーマに講演を行った日本IBM執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部CTO(最高技術責任者)兼オープン・クラウド・センター長の二上哲也氏が、企業におけるDXのアプリ開発を例に、次のように紹介した。
まず、課題として挙げたのは、「デジタルアプリを開発した経験者が少ない」「アプリの変更頻度を上げてセキュリティも確保したい」「既存のアプリが肥大化して変更や確認に時間がかかる」といった点だ。そして、それらを解決するソリューションの1つとしてIBMガレージを挙げた。
図1が、IBMガレージのサービスイメージである。二上氏によると、「お客さまとIBMのメンバーが1カ所に集まり、一緒になってアプリを開発していくという構図だ。その中で、当社としては図の左側に記されている3つの要素をもって共創に努めていく」とのことだ。

IBMガレージの概要