セールスフォース・ドットコムは9月10日、中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)と事業継続支援を目的とした「中小企業デジタル変革支援パッケージ」の提供を開始した。従業員数200人未満の法人を対象に最大30ライセンスを90日間無償提供する。
クラウドベースの顧客管理システム(CRM)「Salesforce Sales Cloud」(エンタープライズ版)と、コラボレーションツール「Salesforce Quip」(エンタープライズ版)で構成。すでにSalesforceを利用中、もしくは検証中の法人は対象外。10月30日12時までに申し込みフォームへの登録が必要。
同社はこれまでコロナ禍における中小企業支援として、医療関連物資を生産する製造業向けの「Salesforce Care」、事業再始動向けの「Work.com」を一定期間無償で提供してきた。Salesforce Careは今回の支援策を通じて全世界8000社が登録し、国内でも中小企業を中心とした多くの企業が登録している。
東京商工リサーチが8月18日に発表した「第7回 新型コロナウイルスに関するアンケート」の調査結果によれば、「コロナ禍の収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性はあるか」との問いに9644社中821社を占める8.5%が「ある」と回答。その下図を国内の中小企業・小規模事業者数である357.8万社に当てはめると、約30万社となる。
セールスフォース 専務執行役員 コマーシャル営業 千葉弘崇氏は、売り上げの減少や取引先の廃業に苦しむ中小企業に「いずれの課題も克服してほしい」との理由から、今回の中小企業デジタル変革支援パッケージを用意したと説明した。
今回のパッケージは前述の通り、Sales CloudとQuipを90日間無償で利用できる。Sales Cloudは顧客に関わる全情報を見渡せるダッシュボードや営業プロセスの最適化、人工知能(AI)を活用した予測や提案、主要評価指標(KPI)ベースでPDCAサイクルを回せるというもの。
セールスフォース マーケティング本部 プロダクトマーケティング マネージャー 秋津望歩氏は、中小企業が導入する利点として「属人化をなくしたビジネスパフォーマンスの向上や人手不足を解消するAI活用、競合他社を超えるスピードを実現」すると訴えた。
ドキュメントやスプレッドシート作成、タスク管理やチャット機能を備えるQuipについても、秋津氏は「提案資料作成や顧客からの問い合わせ対応、オンラインセミナーの企画運営などに活用できる。中小企業の従業員はもちろん、その先の顧客も支援したい」と強調した。

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