本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、ソーラーウインズ・ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏と、日本IBM 執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部CTO兼オープン・クラウド・センター長の二上哲也氏の発言を紹介する。
「日本企業のIT化はまだまだやるべきことがたくさんある」
(ソーラーウインズ・ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏)
ソーラーウインズ・ジャパン カントリーマネージャーの河村浩明氏
ソーラーウインズ・ジャパンは先頃、事業戦略についてオンライン形式で記者説明会を開いた。河村氏の冒頭の発言はその会見で、自身の40年以上にわたるIT業界での活動経験と、同社の経営トップとして今も顧客企業のIT化への取り組みを支援している立場から、日本企業のIT化へのポテンシャルと期待を込めて語ったものである。
ソーラーウインズ・ジャパンは米SolarWindsの日本法人で、ネットワークやシステムなど包括的なIT運用管理ソフトウェアを提供している。
河村氏によると、SolarWindsは1999年に米国テキサス州オースティンで、当時ウォルマート・ストアーズでネットワークエンジニアを務めていた創業者が、「自らの手で本当に使いやすいネットワーク監視ソフトウェアを開発し提供したい」と思い立って設立した会社である。それが現在では、世界190カ国に34万社以上、日本でも2000社以上の顧客数に達しているという。
SolarWindsの概要は図1の通り。この図の中で1つ補足説明しておきたいのは、下から2段目の「THWACK」(トワップ)と呼ぶグローバル技術コミュニティーについてだ。15万人ものユーザー企業のエンジニアが参加しており、「この場で製品について議論が行われ、改良点や開発方針が決まっていく」(河村氏)という。この技術コミュニティーが同社の最大の差別化ポイントといえる。
SolarWindsの概要
また、図2が現在の製品ポートフォリオである。当初はネットワーク管理からスタートしたが、今では図のように領域が広がり、しかもオンプレミスとクラウドの両環境において容易かつ安価に一元管理できるのが、同社の製品群の真骨頂だとしている。この製品群を日本企業へ一段と普及させていくのが、日本法人のミッションである。
SolarWindsの製品ポートフォリオ
河村氏は、「今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴った動きで、日本の行政や企業のIT化がグローバルの中でもいかに遅れているかが明らかになった。企業では特にテレワークの活用が話題になったが、それも含めて包括的なIT運用管理を抜本的に見直し強化していく必要がある。当社はそのお手伝いをさせていただきたい」と強調した。
河村氏はこれまで、EMCジャパンや日本オラクルで役員を務め、シマンテックやDropbox Japanの社長を歴任してきたIT業界のベテラン経営者で、2019年5月にソーラーウインズ・ジャパンのカントリーマネージャーに就任した。冒頭の発言は、そうした長年の経験による“ITの目利き力”と、包括的なIT運用管理に向けた日本企業のポテンシャルへの期待からくる、同氏ならではの“喝”であり、応援メッセージである。