システムインテグレーターのシステムエグゼは、基幹システムをマルチクラウド環境に全面移行した。
8月に構築された新しい環境は、「Oracle Cloud」と「Microsoft Azure」の間で相互接続している。基幹システムを「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に移行しながら、フロントエンドで「Azure Active Directory」と「Windows Virtual Desktop」を活用するマルチクラウド構成となる。
Oracle Cloudと東京リージョンとMicrosoft Azureの東日本リージョンを、低遅延の専用線によって直接接続する形をとっている点が特徴だ。
OCIに構築したデータベースとAzureで稼働するアプリケーションの間を相互接続できるため、高速かつ安全にデータとアプリケーションの連携が可能となった。両社のクラウドポータル画面から相互接続の設定ができ、通信キャリアとの契約も不要だったため、通常は2週間程度かかるクラウド間接続を約半日で完了し、全体のマルチクラウド環境の構築も2週間という短期間で完了した。
システムエグゼのシステム環境の課題として、社内で利用している顧客管理システム(CRM)、社員用ポータルサイト、ワークフローなどの基幹システムを利用する際に業務フローが複雑化していた。また利用ユーザーや環境の増加に伴う運用コストの増加、テレワーク需要への対応、BCP環境の拡充などが課題となっていた。さらに従来の同社のサービス基盤は、1社のクラウド環境に集中し、新技術の導入や適材適所の機能拡張、コスト削減が難しい状況となっていた。
そこで顧客により最適なクラウド環境を提案する上でも、自社の環境をマルチクラウド構成にすることを目指した。同社は、OCIについて標準で高いストレージ性能、メモリーリソースが提供され、他のクラウドで必要となる性能向上のための追加コストが不要なことを評価している。