古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」

CIOが掲げる課題とITベンダーが提示する施策

古賀政純(日本ヒューレットパッカード)

2020-09-18 07:00

 こんにちは。日本ヒューレット・パッカード(HPE)のオープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストの古賀政純です。前回は、医療におけるオープンソースソフトウェアやコンテナーへの対応について取り上げました。今回は、欧米においてCIO(最高情報責任者)が掲げる課題とベンダーが提示する施策を簡単に紹介します。

IoT、AI化が進む医療IT基盤

 新型コロナウイルス感染症が広がる中、国内外を問わず、多くの企業や組織がデータを活用した業務の変革を迫られています。顧客体験や従業員体験など、社会基盤としての在り方が問われているのです。IDCによると、2025年までに世界中で生成されるデータは175ゼタバイト(※1)と予測されており、5G(第5世代移動体通信システム)などの高速通信網の劇的な進歩により、ウェアラブルデバイス、家電、自動車、医療機器などのデバイスがネットワークに接続され、機器同士がリアルタイムにデータを交換しながら知的な情報処理を行う時代が到来するといわれています。

※1:The Digitization of the World From Edge to Core (2018年11月, IDC)

 ビッグデータというと、データ量や保存方法に注目が集まりがちですが、その中でもさらに重要なのは、競争力強化やビジネス拡大のために必要な「データに潜む有益な情報を引き出す方法を得ること」です。

 これは非常に複雑で、人間の洞察力だけでは解決できない問題です。そのため、諦めざるを得なかった複雑な問題を解決するために、AI(人工知能)によるデータ活用を軸にしたデジタルトランスフォーメーション(DX)による抜本的な改革が求められています。DXを決意した企業は、従来のアプローチを維持している企業よりも格段に速いスピードでビジネスが成長するとIDCのレポートでも明らかになっています(※2)。

※2:IDC FutureScape(2018年11月)

 そのため、AIとビッグデータを活用したDXは、投資家などのステークホルダーにとって最重要事項の一つに位置付けられています。

CIOが掲げる課題

 DXが叫ばれる中、ビッグデータの活用によるビジネス創出という目標を達成するために、顧客とITベンダーが協調して新しいアイデアを出し合いながら課題解決に取り組むことが必要とされています。一般に、企業における事業拡大の戦略会議では、CIOを交えてビジョンの作成、事業戦略の策定、IT戦略(情報基盤戦略)の策定などが行われます。

 IT基盤導入の戦略会議では、在るべき姿であるIT基盤の青写真が描かれます。また、どのような課題をいつまでに誰が達成するのか、自社の能力、市場、リスク、期日、資金調達、責任者の選任も含めた検討も行われます。このような戦略策定会議は、自社のみで行う場合もあれば、その企業に深く入り込んでいるビジネスコンサルタントと一緒に行う場合もあります。

 掲げるビジョンや成長戦略は非常に明確で具体的です。何が課題であって、その課題にどう向かっていくのか、何をやり、何をやらないのか、その方向性をしっかりと認識し、全社員が共有します。

 では、企業の上層部が掲げる課題とはどのようなものでしょうか。CIOが掲げる課題の代表的なものとしては、ビッグデータの活用、事業の大幅なスピード向上、競争力の強化が挙げられます。これらの事業課題に対して、ビジネスコンサルティング会社、システムインテグレーター(SIer)、ハードウェアベンダーの基盤設計や導入に関わる技術コンサルティング部門などがCIOと解決策を協議します。

 協議では、単なるハードウェアやソフトウェアパッケージの製品提供だけでなく、CIOが描く事業課題に対するビジネス視点(製品の機能的な視点ではない)とベンダーが提供可能なビジネス価値を共有します。

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