新政権は行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に押し進めることができるか。菅義偉新首相はそのための態勢作りに乗り出す構えだ。この機会に、その態勢作りで一言もの申し上げたい。
菅新首相が「デジタル庁の新設」を明言
「一言もの申す」と題した連載を新政権誕生のタイミングで書くからには、何を置いてもまず「新政権は行政のDXを強力に押し進めよ」と言いたい。
「デジタル庁を新設する」――。首相候補の時からこう述べていた菅氏は、首相就任後の初会見でも行政のDXを押し進めることを強調し、行政改革や規制改革とともに新政権の目玉の改革であることを印象づけた(写真1)。
首相就任の初会見に臨む菅義偉氏(会見を放映したYouTubeより)
初会見では、デジタル庁を新設する理由として、「デジタル化に不可欠なマイナンバーカードの普及を促進するとともに、複数の省庁に分かれるデジタル関連の政策を取りまとめて強力に推進するため」と説明した。
そして、DXを押し進めるデジタル担当大臣に平井卓也氏を任命。平井氏はIT担当大臣を歴任した「自民党きってのIT通」と目され、IT業界にも幅広い人脈を持つ。
平井氏には、筆者のもう1つの連載「今週の明言」の2019年9月6日掲載「平井卓也IT担当大臣が語る『Society 5.0の真髄』」にも登場してもらい、「デジタル技術を活用して今より圧倒的に便利な社会を目指そう」との明言を紹介した。デジタル担当大臣の就任が決まった段階で、同氏はNHKの取材にこう語っていた。
「デジタルの力によって、全ての国民に社会や生活が良くなったと実感してもらえるようにしたい。そのためにも行政のデジタル化を強力に押し進めたい。全省庁にデジタル化のさまざまな課題が散らばっているが、その中からいろいろな障害があって推進しづらいようなものをピックアップして徹底的に後押ししていけるようにしたい」
菅氏としては、平井氏をデジタル担当大臣に任命することで、行政のDXに向けた強い意気込みを示した格好だ。