富士通は、営業マーケティング、ローン審査、不正検知など、金融業界のさまざまな業務を支援する「FUJITSU Finplex AIスコアリングプラットフォームサービス EnsemBiz(Finplex EnsemBiz)」の提供を開始した。2023年度末までに、売り上げ10億円を目指す。
同サービスは、パッケージによるオンプレミス型と、SaaS(Software as a Service)型で提供する。富士通研究所が開発した人工知能(AI)「Wide Learning」を組み込むことで、少ないデータでの高精度な予測と、次なるアクションの提示を可能にする。Wide Learningとは、学習するデータの中から項目の組み合わせを抽出し、分かりやすい判断の根拠となる有用な仮説を提示する機械学習技術。
例えば営業マーケティング活動など、これまで人が担っていたために判断に差が出ていた業務について、各種判断の均質性を高め、効率的なアプローチ、ローン審査業務の効率化、不正請求や詐欺の検知によるリスク回避といったさまざまな効果が期待される。
また、AIによるスコアリング予測と次なるアクションについて、その根拠を分かりやすく提示することで、AIのブラックボックス問題を解決し、活用のハードルを低減する。
AIによる予測の仕組み(出典:富士通)
同サービスは、データの網羅的な組み合わせを列挙して分析することで予測するが、予測結果に強い影響を与えたデータの組み合わせを根拠として分かりやすく提示することで、人が理解できて納得しやすい結果を得ることが可能になるという。
例えば、見込み客への営業マーケティングでは、顧客属性や過去のコンタクト履歴などのデータの全ての組み合わせの中から商品を買う/買わないに影響を与えた組み合わせを抽出する。これにより、見込み客への効率的な営業アプローチを可能にし、さらに想定していなかったターゲット顧客の特徴の発見や理解につながる。
意思決定サポートの仕組み(出典:富士通)
次に取るべきアクションをAIが自動で複数提案する仕組みでは、予測に用いるデータの中にアクション項目を入れ、組み合わせと結果を分析することで可能となった。これにより、効果的かつ効率的なアプローチを選択して、実施できるようになり、ビジネスや業務の意思決定をサポートし、分析の自動化により業務運用の負荷低減にもつながる。
一般的なディープラーニングとの比較(出典:富士通)
利用しやすさでは、AIを活用する際に実施するデータクレンジングやデータ加工、大量のパラメータチューニングなどの作業をGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)操作で容易にデータを事前処理でき、BI(ビジネスインテリジェンス)ツール「Tableau」と連携することで予測結果をグラフ表示できるため、専門知識がなくても運用できることが挙げられている。
また、データの全ての組み合わせから有効なものを選別して予測するため、少量データでもデータ中の特徴を導くことが可能で、AI学習用に大量なデータを用意する必要がないため、新たな領域へのAI適用を推進できる。
Finplex EnsemBizの販売価格と提供開始日は下記の通り。
(出典:富士通)