本連載では、筆者が「気になるIT(技術、製品、サービス)」を取り上げ、その概要とともに気になるポイントを挙げてみたい。今回は、NECプラットフォームズが提供する「エッジコンピューティングに適したコンパクトなボックス型コントローラー」を取り上げる。
エッジコンピューティングに適したコンパクトなコントローラー
NECプラットフォームズは先頃、エッジコンピューティングに適したコンパクトなボックス型コントローラーの提供を開始すると発表した。IoT機器などからの大容量データが、エッジ領域において高速に処理できるようになる。
組み込みのコントローラー、工場IoTなどにおけるエッジデバイス、店舗やオフィス向けの小型サーバーなど、用途に応じた最適なプラットフォームとして利用可能だ。
新製品は、180×180×50mmのコンパクト設計で、NEC製標準デスクトップPCよりも体積比85%以上の削減を実現しているほか、VESA/DINレールにも対応し、設置場所を選ばずに利用できる。(写真1)
写真1:エッジコンピューティングに適したコンパクトなボックス型コントローラー(出典:NECプラットフォームズ)
また、5年間の供給と供給終了後6年間の保守により、長期供給、長期保守を実現。OSも長期サポート可能な「Windows IoT Enterprise 2019 LTSC」を採用している。
加えて、小型ボードが搭載できるオプションスロット(M.2スロット)を搭載しており、拡張性を確保。SSDモジュールやPCIe、SATAなど、ニーズに合わせたカスタマイズを可能としている。
同社はこの新製品を市場投入した背景について、次のように説明している。
「あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの普及に伴い、より多くのデバイスがネットワークを通じて接続される中、デバイスや利用者に近い『エッジ』でデータを処理するエッジコンピューティングの利用が広がっている。例えば、工場内の工作機械のコントロールや店舗、工場などにおける設備のIoT化に対して、エッジでリアルタイムかつ大容量にデータを処理することが求められている」
そこで、同社では工場における組み込み用途のコントローラーなど工作機器の制御やセンサーで収集したデータの処理、および生体認証に際しての画像データの処理を主なターゲットにコンパクトなボックス型コントローラーを提供することにしたという。(図1)
図1:工作機械に適用したコントローラー。Windows搭載のため、慣れた環境での動作を実現。工場にもスムーズな導入が可能(出典:NECプラットフォームズ)
分散クラウドとの連携でエッジコンピューティングはさらに進化
以上が発表の概要だが、今回この製品に注目したのは、コンパクトなコントローラーで実績のあるNECプラットフォームズが、エッジコンピューティング市場に向けて投入した象徴的な製品だと感じたからだ。
この機に、エッジコンピューティングの可能性について、筆者がかつて取材した米Gartnerの「2020年の戦略テクノロジートレンド・トップ10」の話を基に考察してみたい。