Appleのプログラミング言語「Swift」と、Googleのユーザーインターフェース(UI)フレームワーク「Flutter」が「Windows 10」上で利用可能になった。
Swiftは、「iOS」「Mac」「Apple TV」「Apple Watch」向けのアプリケーションを開発するためのAppleによるオープンソースのプログラミング言語だ。
Appleが支援するSwiftプロジェクトは米国時間9月22日、「Windows」向けのダウンロード可能なSwiftツールチェーンイメージのリリースを発表した。SwiftのコードをWindowsで構築、実行する上で必要な開発コンポーネントが含まれている。
Windows 10に対応するツールチェーンは「Swift 5.3」で利用可能だ。Swift Core Teamのメンバーであり、Google BrainのソフトウェアエンジニアでもあるSaleem Abdulrasool氏らによって実現されている。
Abdulrasool氏は2019年のLLVM開発者会議で、SwiftのWindowsへの移植における数々の課題について詳しく語っていた。同氏はその際、Linux環境上でのクロスコンパイルによって、Windows環境への移植を実行したと述べていた。
同ツールチェーンには、移植されたSwiftコンパイラーの他に、標準ライブラリーとSwiftのコアライブラリーである「Foundation」と「dispatch」「XCTest」が含まれている。
Abdulrasool氏はSwiftプロジェクトのブログに「これらのライブラリーは、開発者が容易に、かつ基盤となるシステムの詳細を意識せずとも、パワフルなアプリケーションを記述できるようにするコンポーネントの一部となっている」と記している。
また同氏は「これらコアライブラリーと、SwiftとCとの間の柔軟な相互運用性によって、Windowsプラットフォーム上の既存のライブラリーを全体的に活用しつつ、SwiftのみでWindowsアプリケーションを開発することが可能になっている」とも記している。
Abdulrasool氏は、Windows向けSwiftの現在の状況について「ジャーニーは始まったばかりだ」と記しており、新たなプラットフォームでのエコシステムを完成させるには、「lldb」や「Swift Package Manager」といったものをサポートする作業が残っているとしている。
Windows上でのSwiftを試すには、ツールチェーンインストーラーと統合開発環境(IDE)「Visual Studio 2019」とともに、「Windows 10 SDK」や、C++のコードをビルドするためのツールセット、「Windows Universal C Runtime」といったコンポーネントが必要となる。
また、GoogleのFlutterチームは23日、Windows向けFlutterのアルファ版をリリースした。Flutterは現在、「Android」と「iOS」をネイティブサポートしており、ウェブと「macOS」、デスクトップLinuxのサポートはベータ段階となっている。そして、10億を超えるWindows 10デバイス向けにアルファ版でサポートが追加されている。
Flutterチームは、ウェブとmacOS、Linuxのデスクトップ向けネイティブサポートに加えてWindows向けのアルファ版を追加したことで、開発者向けツールを強化するとともに、新規ユーザーにとっての敷居を下げ、単一コードベースによるアプリをあらゆるデバイス上で実行できるようになったとコメントした。
Flutterは当初、iOSとAndroidのタッチインターフェースに注力していたが、WindowsやLinux、macOSをまたがるデスクトップのサポートにより、キーボードやマウス、マウスホイール、コントローラーなどの入力デバイスとともに、デスクトップのウィジェットもサポートするようになっている。
Windows向けFlutterのアルファ版は現在のところ、クラシックな「Win32 API」のみをサポートしているものの、Googleは未来のWindowsデバイスに向け、Microsoftの「Universal Windows Platform」(UWP)アプリのサポートにも取り組んでいる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。