世界的な開発者不足を背景に、プログラミング開発なしに、業務システムを構築できるサービスが続々と登場している。中でもプログラミング未経験の人でも簡単に業務改善アプリを作れるのがサイボウズの「kintone」。月額1500円/ユーザーで導入できる手軽さと、大企業の業務システムにも使われる信頼性、柔軟性が特徴で、1万社以上が利用しているクラウドサービスだ。
kintoneは業務を熟知している現場の人間が自分でシステムを構築できるので、スピーディーかつ過不足のない開発が行える。開発と言っても、ウェブページ上でパーツを配置するだけと操作は簡単。ITに関わりがなさそうな業界でも活用され、めざましい効果を上げている企業は多い。
今回は、東京都のリフォーム会社が、「Microsoft Access」と「Excel」で運用していたシステムをkintoneに切り替え、自分たちでブラッシュアップすることで大きな業務改善を実現した事例を紹介しよう。
kintone(サイボウズ)のウェブサイト
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課題は複数システムへの重複入力やテレワーク対応
今回、お話を伺ったのは家づくり代理人(東京都世田谷区)の代表取締役 神田雅弘氏と奥様の神田奈緒美氏。ママリフォームという屋号で、住宅のリフォームサービスを提供している。世田谷区赤堤から、自転車15分圏内の地域密着スタイルが特徴だ。
以前は家を建てる時のサポート業務を手がけていたのだが、新築する人よりもリフォームする人が増えたため、10年ほど前からリフォームをメインにするようになったという。
ママリフォームでは神田奈緒美氏の女性目線・主婦目線からのアドバイスをすることで、顧客に寄り添って悩み事を解決している。従業員は2020年入社した正社員1人と、パートが3人ほどいるという。
ママリフォームのウェブサイト
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同社では、20年前から「FileMaker Pro」というデータベースソフトを使っていた。今で言う、ローコードツールの1つだ。当時、「1to1マーケティング」と呼ばれる顧客1人1人に対してマーケティングを行うという考え方が流行っており、顧客管理をするために導入した。
長らくFileMaker Proを使っていたがシステムが古くなったため、6年ほど前にMicrosoftのデータベースソフトAccessに移行した。
「2018年12月に入ってくれたパートさんの旦那さんがITに詳しかったので、うちのシステムを見てもらいました。そうしたら、こんな古いシステムを使っていたら発展しませんよ、と言われたんです」と神田雅弘氏。