「これまで何回か開発を依頼しましたが、どうしても伝わらないことが多く、何度も失敗してきました。それが、自分たちで改善をすれば、数ヶ月でここまでのものができるのか、と夢みたいです」と神田奈緒美氏は満足げに笑った。
顧客管理アプリと案件アプリを作成して連携させることで、一度入力したらそのデータを再利用できるようになった。矢内氏がカスタマイズして施工管理アプリのANDPADとも連携できるようになったので、同じデータを重複して入力するという手間がなくなった。同時に、入力ミスも防止できるようになった。
「FAX+kintone」(バーズ情報科学研究所)というkintone連携ソリューションを導入することで、FAXをデジタル化。以前棚で保管していた紙の束を廃棄し、ペーパーレス化も実現できた。
「受信したFAXデータを案件に紐付けることで、必要な情報がすぐに検索できるようになりました。kintoneはクラウドサービスだから、どこでも必要な時に資料が見られるのが便利です。今までは、お店に来てファイルを探していた時間を有効に使えるようになりました」(神田奈緒美氏)
ママリフォーム 代表 神田奈緒美氏
提供:神田雅弘氏
神田夫妻は現場に出ていることが多いが、その時に連絡が来たときも、kintoneを見ればその場で答えが出せる。今までは、会社に連絡したり、帰社したりする必要があったが、迅速な対応ができるようになったという。
ママリフォームは地域に密着しているので、顧客との距離も近い。会社に連絡があったことをkintoneで確認できれば、その内容によっては帰社する前に寄ることもできる。電話に出られなかった場合でも着信の履歴を見てkintoneで調べることで、誰からかかってきたのかがわかる。案件の状況によっては、即連絡するといった柔軟な対応が可能になる。いろいろな場面で業務効率が大きく改善したそうだ。
kintoneのタスク管理プラグイン「KANBAN」(アーセス)も導入し、タスクや案件の管理もかんばん方式で扱えるようにした。kintoneのUIはややプアなのだが、プラグインを使ったリッチなインターフェースならITに詳しくない人でも直感的に利用できる。
kintoneそのものの利用料金は1ユーザー当たり月額1500円と安いのだが、プラグインや連携サービスの料金を加えると、中小企業には無視できない負担になってくる。しかし、神田雅弘氏は効率化や削減できる人件費など、投資を上回る効果が得られるなら、投資は必要だと答えた。
「タスクをkintoneで管理するようになったので、従業員も私も紙の手帳は使わなくなってしまいました。転記する手間もなくなり、快適です」(神田奈緒美氏)
手軽にアプリが作れて、クラウドで共有でき、スマホでも閲覧できるというkintoneに感動した神田雅弘氏は、サイボウズの株価は上がるはず! と思ったそうだ。その慧眼は素晴らしいが、確認したときにはすでに株価があがりまくっていた後だったという。
最後に、今後の展開を伺った。
「kintoneアプリを改善していきたいです。今は顧客と案件の管理を中心に進めて来ましたが、今後は会計システムにデータを渡したり、経営の分析を行ったりしていこうと思っています」と神田雅弘氏は締めた。
Accessからkintoneへ移行でき、プラグインの便利さも体感したママリフォーム。サポートがあったとは言え、自分たちでアプリを改善するスキルも身につけた。今後も、ビジネスのニーズに応じて、自分たちに最適なシステムを短時間で開発していける。kintoneの大成功導入事例と言っていいだろう。