中部電力とKDDIは、変電所における現場業務の効率化とレジリエンス(障害耐性)の強化に向け、5G(第5世代移動体通信)を活用した共同検証を10月1日に開始する。2021年1月21日まで実施される予定だ。
電力業界では、現場業務のさらなる安全確保や効率化に加え、災害発生時の迅速な設備復旧などが課題となっている。また、従来の無線によるロボットの遠隔操作にはリアルタイム性に課題があり、大量かつ低遅延な情報伝送を必要としている。今回の検証は、5Gと最先端のテクノロジーにより、さまざまな課題を解決するために実施される。
中部電力パワーグリッドの大高変電所と中部電力の研究所の2拠点に、高速・大容量、低遅延、多接続の特性を持つ5G環境を構築。5Gの通信性能の検証とともに、ロボット、高精細カメラ、スマートグラスなどを用いた遠隔からの巡視や監視、作業支援などの実運用を見据えた検証を行う。
検証のイメージ図
具体的取り組みとして、5Gの環境で、中部電力と三菱電機で共同開発中の巡視ロボットの遠隔運転操作を行う。また、変電所の確認箇所を高精細カメラで撮影して遠隔監視も論証する。さらに現場作業者が装着したスマートグラスの視界を遠隔にいる作業指示者に高精細映像で共有するとともに、作業指示をリアルタイムにスマートグラスの画面上へ表示する。
また、不審者の侵入監視や設備異常の早期検知、作業員の安全確認などを目的に、低遅延環境にある5GのMEC(マルチアクセスエッジコンピューティング)を活用し、カメラからのストリーム映像を人工知能で解析する。